EPISODE.2.05 Together


この世界に来てそろそろ一年が経つ。

死んだ世界戦線に入隊し、様々なオペレーションや陽動のサポートを担当していたら、いつの間にかガルデモのマネージャーを任された。
当初は自分の身には余り過ぎると何度も言ったが、ガルデモのひさ子さんの厳しい指導の下、今では人並みにマネージャーと名乗れるほどの技量を手にしていた。
リーダーのよく分からないオペレーションをみんなでこなし、みんなと生活を共にし、みんなとはしゃぎ合い、みんなと共に戦う。

いるかどうか分からない『神』を追って……。

そうしていく中で、色々と手ほどきしてくれたひさ子さんと関わっていく内に好意を抱き始め、気がついたらひさ子さんに告白をしていた。

…………………!!!!

告白した瞬間、自分の浅はかさに気付き、玉砕・マネージャー解雇を覚悟した。
だが、予想は一気に覆された。


ひさ子「………あたしなんかで……本当にいいのか………?」


……………………。

ひさ子さんからの返事はOKだった。
正直自分で挑んだにもかかわらず驚愕した。


ひさ子「その……これからよろしくな……?」


そうしてひさ子さんと付き合って行くことになった。

学習棟A棟 空き教室

岩沢「ふぅ……」
ひさ子「さすがにぶっ続け過ぎたな……」
関根「へろへろ~……」
入江「なかなか白熱したね~……」
岩沢「じゃあ、ひとまず休憩だね」
関根「さんせい~……」

つかさずスポーツタオルと買っておいた飲み物を渡しに行く。

岩沢「ん?ああ、助かるよ!」
こちらに気付いて笑顔をふりまいた岩沢さんにいつも飲んでいるミネラルウォーターを渡す。

ひさ子「あ、ああ………その……ありがと……」
何故か顔を赤らめならも、ひさ子さんはスポーツドリンクを受け取った。

入江「ホントいつもありがとね~」
受け取ったスポーツタオルで汗を拭く入江さんにアイスレモンティーを手渡す。

関根「あ”~たずがる”~……」
ぐで~ん……としている関根さんは炭酸ジュース受け取ると勢い良くフタを開けジュースを呷った。

これも今では日常茶飯事だ。
毎日こうやって変わらない日常を過ごしている。
でもそれは決して退屈などとは思わない。
むしろずっと続いて欲しいと願っている。

それが生きていた頃よりずっと有意義だからだ。

関根「ほんと、君はいつも頼もしいねぇ~♪あたしのひさ子先輩を奪っただけあるよ~♪」
ひさ子「なっ!?関根!!あんたなに言ってんだよ!!」

…………!!

関根「お? 二人ともテレっちゃって~♪」
入江「しおりん、からかい過ぎだよ~」
関根「いいじゃん♪いいじゃん♪もしもひさ子先輩に愛想つかしたら、いつでもアタシのとこにきていいよ~♪」

……!?

ひさ子「こら!!関根ー!!!!」
関根「ひいいぃ!!!!お助け~!!!!」

戯れている二人から視線を外し、ふと先程から沈黙している岩沢さんを見た。

岩沢「…………」

………?

岩沢「え?ああ、大丈夫!なんでもないよ」

……………。

岩沢「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」

………? ……!?

岩沢さんとの話の最中、突如ポケットの中に入れていた無線が鳴った
遊佐『遊佐です。今度の告知ライブのビラはまだご用意できませんか?』

……………!!

渡しに行くのをすっかり忘れていた

………!! …………!!!!

遊佐『了解しました。ではお待ちしております』

…………。

入江「?どうかしたの?」

……………。

入江「ああ、今度の告知ライブのビラか~」

…………!!

入江「え?今から渡しに行くの?一回取りに行くにしても、あれって結構な量あるよね?」

…………。

この会話を耳にしたひさ子さんがつかさず押し入って来た。
ひさ子「だったら、あたしが一緒に手伝うよ!!」

………?

ひさ子「大丈夫だって!ほら!早く行くよ!」
そうしてひさ子さんに手を掴まれ引っ張られようとした瞬間……。


岩沢「いや、あたしが行くよひさ子」


ひさ子「岩沢?」

……?

岩沢「ほら、ひさ子けっこう疲れてたでしょ?今のうちにゆっくり休んどきな。あたしがサッと行ってくるから」
ひさ子「で……でも……」
岩沢「大丈夫だって。ね?」
ひさ子「あ、ああ……」
岩沢「それじゃ、サッと行くよ!」

………!

そうして告知ライブのビラを岩沢さんと取りに行った。


岩沢とあいつが一緒にビラを取りに行ったのをあたしは見送った。
別に大したことはないのだが、なんか釈然としない気分だ。

関根「よかったんですか?ひさ子先輩?」
ひさ子「なにが?」
関根「いや、もしかしたら彼、岩沢先輩に取られちゃうかもしれませんよ?」
ひさ子「は?なに言ってんだよ!岩沢に限ってそんな事ないだろ」
入江「でも、ちょっとそれ否定できませんよ……」
ひさ子「……どういうことだよ?」
関根「気付きませんかひさ子先輩?岩沢先輩が彼を見るときの目、あれは乙女のまなざしですよ~」
ひさ子「そんな馬鹿な」
入江「実際、見てる限り結構そんな兆候ありますよ?」
関根「学食も同席してるし、彼から本とか借りてますし……なにより今、彼女であるひさ子先輩を差し置いてまで彼と一緒にビラを取りに行ったんですよ?少なからず可能性はゼロではないですよ~」
ひさ子「……………………わりぃ、ちょっと外の空気すってくる」
関根・入江「行ってらっしゃーい……」


……………………


関根「……相変わらずわかりやすいな~ひさ子先輩」
入江「でも、それだけ好きになれる人がいるっていいよね~……はぁ、あたしもそういう人が欲しいな~」
関根「ん?みゆきちまであたしから離れようというのか~?」

『必殺・ぱい鷲掴み』

入江「ちょっ!?しおりん!なに!?やぁめぇてぇ~!!!!」
関根「ほれほれぇ~♪ここがいいのかぁ~?んぅ~?」

入江「ら……らめええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

学習棟A棟 廊下


学習練A練、B練を2往復ほどして、何とか全てのビラを渡すことが出来た。
当初の予定より多めに印刷していたので結構時間がかかってしまった。

岩沢「ねぇ、ちょっとそこで休憩していかない?」

そう言って岩沢さんが指さしたのは練習に使っているのとは別の空き教室だった。
実際、このA棟だけでもかなり広く、今の場所からいつもの練習場に使っている空き教室もまでもかなり距離がある。

…………。

そんなA棟と隣のB棟を2往復もしたため流石に疲労困憊状態となり、岩沢さんの提案を否定するほどの余裕はなかった。

学習棟A棟 空き教室2


空き教室は誰もいない無人だった。
隅にまとめてある椅子を確認すると迅速に2つ持って来て、一つを岩沢さんの近くに置いた。

岩沢「ありがとう。……あんたってほんと気がきくよね」

………………。

岩沢「そんな事ないよ。十分マネージャーとして役に立ってるよ」

………。

そうしてしばらく沈黙が続いた。
静寂に包まれた教室で外で体育の授業をしている生徒達のかけ声が聞こえてくる。
そんなしばらく続いた静寂に終止符を打ったのは岩沢さんだった。

岩沢「あのさ、あんたに聞きたいんだけどさ……」

……?

岩沢「ひさ子とは、上手くいってるの?」

………!?

岩沢「そんなに驚く事じゃないでしょ?……もうHな事とかしたの?」

………………

岩沢「黙ってるってことは肯定していると認識するよ?」

…………。

岩沢「そっか……実はあたしさ、あんたに言いたいことが……あるんだ」

……?

突如岩沢さんは椅子から立つと、触れ合えるぐらいまでの距離に近寄ってきた。

……!?

岩沢「あたし……本当はあんたの事が好きだったんだ……ひさ子なんかよりずっと前から……」

…………!?

岩沢「覚えてる?あんたがゆり達と組んで間もない頃、いつものオペレーション・トルネードで一度だけ天使を学食への侵入を許した時があったでしょ?その時のあんた、物凄い形相で必死に天使に立ち向かってさ、NPCがいるからって銃を一切使わずにあんまり目立たないようにって、血まみれになりながら素手で天使を外まで押し上げて……なんとかオペレーションが完了した後、あんたに『なんでそんなに必死になってたの?』って聞いたんだよ。そしたらあんたはなんて答えた?」

………………。

岩沢「『俺にとっての一番の支えを邪魔されたくなかった』……そう言ったんだよ?それが最後のライブってわけでもないのに、あんたはその日ごとのあたし達の曲を一曲一曲を大事にしてくれていた……それがあんたを好きになった理由かな……」

………………。

岩沢「だから、あたしにとってのあんたへの『好き』は、ひさ子にも負けない……!!」

………!!!?

岩沢さんは突然抱き着いて来た。
岩沢「ひさ子よりあたしの方がずっといいって、証明してあげる……」

………!!?

頬が赤く染まった岩沢さんの顔が徐々にこっちに迫ってくる……
岩沢「あたしが生きてた頃は殆ど音楽に人生を捧げてたから、恋愛って行為は一切縁が無かった……でもここに来て、あんたにそれを教えてもらった……Hだって、ひさ子なんかよりずっと良くしてあげる………」

…………。

瞳を閉じた岩沢さんの顔が更に近さを増す。
あと数センチ近寄ればお互いの唇がくっつき合うだろう。
岩沢「…………」

………ひ……さ………子……。

岩沢「…………」
もう数ミリしかない程の距離で、岩沢さんの顔が止まった。

岩沢「…………冗談だよ!」

………??

岩沢「あたしが親友の彼氏を横取りするわけないでしょ」

………!??

岩沢「むしろ、安心した。あんたのひさ子への『好き』は本物だった」

…………。

岩沢「ひさ子をしっかり支えてあげてよ!」

……!!


ひさ子「岩沢!!!!」


……!!?

教室のドアを勢い良く開けて飛び込んできたのは他ならぬひさ子さんだった。
岩沢「ん、ちょうどいいタイミングだね」
ひさ子「なにがちょうどいいタイミングなんだよ!!岩沢……あたしの……」
岩沢「じゃあさ、悪いんだけど……もう少しあたしのわがままに付き合ってもらえないかな?」

……?

岩沢「ひさ子、あんたも手伝ってよね」
ひさ子「……岩沢?」

ひさ子「ちょっ!?流石にこれは……!!!!」
岩沢「ほら、なにもたもたしてんの?早くしなよ」
ひさ子「で……でも……!!こんなの……!!!」
岩沢「ほら早く。上はまくって、ブラは外して」
ひさ子「い……岩沢!!!?」


………………………………

ひさ子「んっ♡……い……岩……さ………わ……」
岩沢「ひさ子、こーいう時は、あたしの事より彼の方を気にしなよ」
ひさ子「そ……そう……いわれて……も……」
岩沢「どう?気持ちいい?」

……………!!!!

何故こうなったのか……?
今この時、何故かひさ子さんと岩沢さんの胸に自分のモノを挟まれている。
それが今の一番の疑問だった。


岩沢「さっきも言ったように……んんっ♡………あたしは生きてた頃に恋愛とか一切縁が無かったからさ、こういう事も一度はやってみたいと思ってたんだよ……こうすればいいの……?」

……………!?

岩沢さんは更に胸を強く寄せてきた。
岩沢「言っとくけど……んっ♡……あたしがあんたの事を好きだっていうのは冗談じゃないからね……」

…………………!?

ひさ子「え?あたしはいいのかって?……んぅ♡……い……岩沢……そんなに乳首押し付けたら♡………その……あたし……んっ♡……本当は岩沢が前からあんたのことを好きだっていうのを知ってたから……ん……」

…………?

ひさ子「……だけど、いつの間にか……んんっ♡………あたしもあんたのことが好きになっていて……あんたから告白されたとき……嬉しくて……拒めなかった……」
岩沢「ひさ子……」
ひさ子「だから……罪滅しって言うわけでもないけど……んっ♡……岩沢の願いを少しでも叶えてあげたいと……んぅ♡!!……思ったからさ……」

……………。

岩佐「ありがとうひさ子……じゃあ、彼をもっと気持よくしてあげようよ」

!?

ひさ子「え?……っ!?んんっ♡!!ちょっと岩沢!?……だから……そんなに乳首押し付けられたら……んっ♡………ダメだって♡………」
岩沢「ひさ子……乳首堅くなってきたよ?結構感じてたりする?」
ひさ子「んぁっ♡!……押し付けちゃ………ダメ……!!」
岩沢「それに……んっ♡!……しても……あんたの……ほんと……熱いよ……」

……………。

岩沢「そんなに恥ずかしがらなくたって大丈夫だよ……ほら、ひさ子もなにか言ってあげな」
ひさ子「あ、ああ……その……き、気持ちいか………?」

……………。

ひさ子「そ、そう……か……んっ♡なら……良かった……じゃ、じゃあ……もっとおっぱい擦ってやらないとな♡……」

………!!!

返事を聞いたひさ子さんは、とても嬉しそうな笑みを浮かべると胸のこすり付けの速度を上げ始めた。

岩沢「んんっ♡!!ひ、ひさ子……!!は、はげし……過ぎ……る……!!」
ひさ子「こんなんじゃあ……あらしぃ♡……どうにかなりそおぉ♡……」

ひさ子さんはタガが外れてしまったのか、先程までの恥らいを忘れ、徐々に表情が緩み始める。
ひさ子「ん………いわひゃわぁ♡………」

ひさ子さんと岩沢さんは深い口付け合った。

岩沢「んっ……ひひゃこぉ♡……ちゅ♡…ちゅる……ぢゅるる……」
ひさ子「ちゅる♡……くちゅ……くちゅ……ちゅっ……はぁ♡……」
岩沢「くちゅる……は♡……そうだ………彼にも……おすそ分けしてあげないと……」
そう言うと岩沢さんは口に含んだ唾液を胸で挟んでいるモノに垂らした。

……!?

岩沢「ひさ子のと混ざったやつだよ……♡これでもっと気持よくしてあげる……」

…………!!

ひさ子「あぁ……ずるいぃ……あらひもぉ♡……んぁ……」

ひさ子さんは既にとろんした表情になっており、いつもの姉御肌な頼もしさは見る影もなく、今はむしろすっかり甘えきってしまった子猫のイメージが強い。
そして二人の唾液が潤滑油になり、二人の胸の擦る速度はさらに激しさを増していく。

ひさ子「はぁ……はぁ……!?……いまぁ、ビクンってしたよぉ♡……そろそろ……ん♡……いっひゃうのぉ……?」

……!!!!

岩沢「はぁ♡!……はぁ♡!……ひ……ひひゃほぉ♡……あ、あらひも……!!なんか……きひゃう♡……!!」

ひさ子さんの影響なのか、岩沢さんもいつの間にか表情がとろんとしており、いつものクールビューティーなイメージではなく甘えきった子猫の顔になっていた。

…………!!

ひさ子「もうでひゃうの?……いいよぉ♡……おもいっきりだひてぇ♡……」
岩沢「あ……あらひも!!……あらひもぉ♡……ね……ねぇ?……み、みんらで……いっひょに……!!」
ひさ子「うん……うん……!!さんにんれいっひょにいほぉーー♡……!!!!」

…………!!!!

そ岩沢さんと久子さん、そして二人の胸の中で果てていく自分がわかった。

ひさ子「はぁ♡……はぁ♡……はぁ♡……はぁ♡」
岩沢「はぁ♡………は♡……はぁ♡………はぁ♡……んっ♡!」

!?

いつの間にか顔の方に来た岩沢さんに唇を奪われていた。

ひさ子「……?あぁ!ずるぃぃ!!いわひゃわぁ!!あらひもぉ!!」

そういってやって来たひさ子さんにも唇を奪われた。
そうして三人でお互い抱き合ってキスを交し合った。

その後のしばらくの間、お互いを確かめ合うかのように、この空き教室に滞在した。


長く滞在しすぎてしまったのか、日は既に暮れ始めていた。
校庭では部活動に励む運動部の姿と下校する生徒たちの姿が見え始めていた。
先程まで床の上で果てていた岩沢さんは、制服を整えると何事もなかったかのようにスッと立ち上がった。

岩沢「………ちょっと時間潰し過ぎたね……随分遅くなっちゃったけど、早く戻って練習するよ!!」

………!!

ひさ子「あ!待てよ岩沢!!」
遅れて制服を整えるひさ子さんと二人で先に教室を出て行った岩沢さんを急いで教室を飛び出して追いかけた。

すると

……?

突如、前にいた筈の岩沢さんはクルリときびすを返し、こっちへ戻ってくるや、いきなり腕に抱き寄ってきた。

………!?

岩沢「練習が終わったらデートとさっきの続きだよ!」

…………!?

ひさ子「なっ!?どういうことだよ岩沢!?」
岩沢「さっき言ってなかったけ?彼氏彼女の関係は今日一日だって。まだ一日は終わってないよ」
ひさ子「そ……それはたしかにそうだけど……!!」
岩沢「なら問題ないよね」
岩沢さんは腕をさらに強く、深く抱き寄せた。

ひさ子「…………」
ひさ子さんの視線がとても痛かった。

……!?

そう思った矢先、今度はひさ子さんが、岩沢とは反対の側の腕にいきなりしがみついてきた。

………!!

ひさ子「言っとくけど、あんたがあたしのものであり、あたしがあんたのものだってことを忘れるなよ……」
ひさ子さんは照れながらそう言った。

岩沢「じゃあ、今夜はあたしの部屋で泊まりだね。朝まで一切帰さないよ!」

!?

ひさ子「ちょっ!?岩沢!!なに言ってんだよ!!そんな事、あたしが認めないよ!!」
岩沢「だったらひさ子も一緒に泊まる?流石に三人だと狭いかもしれないけど」
ひさ子「そ、そーいう問題じゃなくてだな……あ~……うう~………はぁ……わかったよ」
岩沢「なら決まりだね」

……!!?

岩沢「ほら!入江と関根を待ちぼうけさせちゃったから急いで戻るよ!!」


その時の岩沢さんの笑顔は、今まで見た中でも一番幸せそうにみえた。
夕日に染まる廊下を、三人一緒で駆けて行く。

そうしてまた終の見えない日々が過ぎ去っていった。
いつまでもこんな日々が続くと願って……

Epilogue


それは、突然訪れた。

教員棟前

今回のオペレーション『天使エリア侵入作戦』で大々的な陽動するべく、過去に前例がない告知ライブ当日、教師からの妨害を少しでも抑えるために、一人教員棟の前に待機していた。
案の定告知ライブ開催の十五分後には教員棟からライブを中止させるべく現れた生徒指導部の教師の行く手を阻むことになった。

複数の教師を出来うる限りで何とか足止めには成功したものの、別の方から会場の体育館へ向かった教師がいたらしく、思い虚しくライブは中止されてしまった。


そんな時。


突如校内放送で音楽が流れてきた。

全校内で響き渡るその音楽には聴き覚えがあった。
以前岩沢さんが練習の時に披露していたMy Songという曲だった。
その曲に周りの生徒、止めに掛かった教師ですら耳を傾けていた。
この予想外の展開に会場の様子が気になり、この機を逃さず体育館へ全力疾走した。
その間にも、My Songは聞き逃すことなく、しっかりと耳に焼き付けていた。
夜の学園校内をひたすら走り続けた。
My Songが響き渡る中で……
疲れを忘れて走り続けた。


その時、天使とすれ違ったような気がした。


会場に付く頃には既にMy Songは歌い終わっており、会場内は多くの生徒がいるにもかかわらず、拍手やアンコールのかけ声一つもなく、静寂に包まれていた。
そこで一体何が起きていたのか、その時は知ることが出来なかった。

翌日、ひさ子さんから岩沢さんが消えてしまったことを知った。
ここから消えるということ……それは全ての過去から解放され、一切の未練なく満足するということだ。
それが良いことなのか悪いことなのか……
それは今の自分では理解出来ない。


ただ……岩沢さんとはもう二度と会うことも出来ず、あの時の……会場へ向かい疾走していた時に耳に入ってきたMy Songをもう聞くことが出来ないのかと思うと、寂しく感じられた。

The End

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