【ショートシナリオ付きイラスト】ルナマリア・ホーク_20240616
元気だして。あなたならできるわ――――
俺が失敗をして上官に怒られて、人気のない場所の片隅でひとり塞ぎ込んでいると、彼女はいつも俺の元にやって来る。
そして真向かいに座ると、まるで姉のように俺のことを励ましてくれる。
いつもは他愛もない雑談や何かで競い合って減らず口を叩き合ったりする間柄なのに、この時はまるで別人ではないかと思うくらいに優しい。
そんな彼女に支えられる自分の不甲斐なさと格好の悪さを恥じて、ちっぽけな面子を守りたいあまり、つい心に無い憎まれ口を叩いてしまう。
けれど彼女はいつものように食い付きもせず、「そうだよね」「ムカつく時もあるよね」と、俺の身勝手な言い分を終始肯定してくれる。
それが逆に冷静さを取り戻すきっかけになり、自分のこれまでの言動に含まれている落ち度が明確化し、次々と反省点が浮かび上がってくる。
またそれはそれで罪悪感で更に塞ぎ込んでしまうのだが、彼女は片膝を立てて座り直すと……あろうことか、スカートの……中がこちらに見えるように座っているのだ。
「元気だして。あなたならできるわ」
そう言って俺を励ましつつ、自分でもどうしたら良いのかわからない失敗や悩みの相談に乗ってくれる。
その答えのほぼ八割は俺の心のモヤを晴らしてくれる名回答だが、時には彼女自身でもわからないものもあるらしく、そんな時は苦笑いしながらも「一緒に答えを探していこうよ」と言ってくれる。
だがそんな大事な場面の最中であるにも関わらず、俺の視線はどうしても彼女のスカートの中に行ってしまう。
流石に気付いていないとは思えない。
俺なんかのために時間を費やしてくれているのに、肝心の俺がこの有り様では最低呼ばわりされても弁明の余地もない。
こんな失礼極まりない自分を改めようと渾身の力を振り絞って目を逸らして意識しないようにしようとするが、できない。
普段から無意識的に抑え込んでいた本能までもが上手く制御できず、下心が露わになってしまう。
さながら心底空腹で倒れそうな時に、目の前に大好物のご馳走を並べられているような心境だ。
食べずにはいられないし、必死になって我慢をしても腹が鳴るのは隠せない。
いずれにしても完全に意識しないようにすること自体が不可能なのだ。
しかし、よくよく考えると彼女自身も見えてしまっていることに気付いていない訳がない。
初めて彼女に励まされた時は本当に偶然のことだと思っていたが、二、三、四回と続くと流石に偶然ではなく確信犯であると実感した。
スカートの中へと吸い込まれていた自分の視線を恐る恐る彼女の顔へと戻してみると、彼女はクスリ♪ と微笑み返してくれたのだ。
「少しはスッキリできた?」
「お、お陰様で……」
気まずそうに応じる俺に対し、彼女はふっと笑みを浮かべて顔を近づけて来るや、俺にそっと耳打ちしてきた。
(困った時はいつでもあたしに相談してね♪)
「っ!?」
そう囁いて歩き去って行った彼女の後ろ姿を俺はただ呆然と見送のであった――――。
あとがき
昔、ボイス再生機能付きスタンドが付いたルナマリアのフィギュアを買ったのですが、そのセリフの中に「元気だして。あなたならできるわ」という本編には存在しない新規撮り下ろしのセリフがあったので、そこに思いを馳せって青臭くほんのりエッチな青春物語を意識して書いてみました。
(オラもこげな青春送りたかったべさ~!)