EPISODE.0.15 Operator Vibration

 ある時のことだった。

 過去の記憶がない自分は、なるがままの如くに死んだ世界戦線に入隊してそれなりに慣れ始めた頃、戦線のリーダーのゆりっぺに呼び出された。


対天使対策本部


………………。

 かつてはこの本部入口前のトラップにはまって星になりかけた身だが、今では普通に合言葉を言って入室している。
ゆり「来たわね」
 対策本部こと元校長室の正面のデスクをまたいだ先にリーダーのゆりっぺはいた。
 そして隣にはやや見覚えのある人物がいた。
 ゆりっぺに負けず劣らずのスラっとしたスタイル。サラッとした金髪を二本の赤いリボンで結って、その人の特徴でもあるツインテール。
 確か遊佐さんといったか。戦線のオペレーターを担当している人だ。
 何度かオペレーションで見たことはあるが、会話などの接触する機会は一切無く、彼女自身がとても無感情かつ無口であったので印象があまり無かった。もしあの特徴のツインテールが無かったら、普通にただの『キレイな女の子』というだけでしか覚えていなかっただろう。
ゆり「今回あなたを呼んだのは他でもないわ。あなたに超極秘オペレーションを任せたいの」

……!!!!??

 唐突に現れた突然のオファーに驚きを隠せなかった。というより隠す気にもなれなかった。
 いくら慣れ始めたとはいえ、基本的にはぺーぺーと言ってもいい。
 各オペレーション実行時の周辺警備やガルデモの陽動サポートなどが主体で行動している……悪く言えば雑兵な自分にそのような大任が任される時が来るとは、よもや思いもしなかった。

ゆり「あなたに遂行してもらうオペレーションは……」

ゴクリ……。

 なんて効果音が今自分の身体のどこかで発しられただろう。
 一体どのような事をするのか? 過去の今までのオペレーション内容を振りかってみると、たしかに重要だが、どこかしらユーモアとふざけた面が入り交じってたりしており、さほど苦になることはなかった。
 だから実際のところ、緊張はせずにちょっと好奇心がかった感じになっている。

ゆり「これから一週間、天使を監視してもらうわ!」

 ………………。

 え?

 天使を……監視……?

………………!!!!?

 誤算だった。
 まさか本当に真面目で極秘なオペレーションが来るとは予想もしなかった。
 こういう時は大概の場合、もっとネタ的なものが出るものと認識していたのだが、そんな固定観念に縛られ過ぎて、真正面のどストレートを突かれた。
 むしろこれが本来真っ当な答えであり正しいのだ。だがその答えを聞いた後は最初に増して驚愕の嵐だった。

…………!!!!!

ゆり「ウソじゃないわよ。いたって真面目よ! 我が戦線が今まで不真面目でおちゃらけてたことがある?」
 数えきれないくらいあります。
ゆり「遊佐さん、今回のオペレーション内容を説明してくれる?」
遊佐「了解しました」
 こっちの思いとは裏腹に、オペレーションの流れをオペレーターの遊佐さんは淡々と説明し始めた。
遊佐「今回のオペレーションは、天使の監視。いわば敵情視察みたいなものです。神出鬼没な天使の行動を把握し、今後のオペレーションを円滑に進めていくというのが目的です」
ゆり「わたしたちは天使についてまだ詳しいことは一切わからないわ。そこで、天使の日常における活動と行動範囲、どの施設を多く利用し、どのルートを主に使って移動しているのかというのを明確に調べて欲しいの」
遊佐「オペレーション遂行期間は一週間。一週間内における一日一日の天使の行動を全てスケジュール化し、こちらに提出してもらいます」

………………。

ゆり「そして天使の秘密と、天使らしい場面をスクープしてくるのよ!」

…………。

 ………………え?
遊佐「また、今回のオペレーションは、天使の日常行動を明確に把握するのが目的ですので、天使との接触は厳禁。こちらの行動が天使にバレてしまってもいけません。よって隠密行動になりますので、単独の少数精鋭による活動になります」

………!! …………!?

ゆり「あなたがこのオペレーションを任された理由? それはあなたが目立たないからよ」

!?

 今物凄く心にグサッときた。

ゆり「確かにあなたが言うように一番信頼のおけるメンバーに任せたほうがいいのかもしれないけど、わたしの身近なメンバーを想像してみなさいよ」
 ……想像してみた。

 ………………。

 ……なるほど。
ゆり「あんな目立ちすぎた連中に任せられると思う? ……全員アホだし。なにより私たちはもう天使に顔を完全に知られているわ。だからあなたに任せるのよ」

…………!?

ゆり「だったらあまり目立たない大山に任せろって? あなたね……自分すら目立っていないのによくそんなことが言えるわね……」

 ……面目ない、大山君。

ゆり「どのみち大山君もダメよ。天使に顔が知られているわ」

…………。

 なんだこの空気は……?
 もはや反論ができなくなり始めていた。
遊佐「オペレーションの遂行は明朝からです。ご検討をお祈りします」

!?

 このオペレーター、いま最後一瞬ニヤリと笑いやがった!!
 ……完全になめられているとしか思えなかった。
 なぜに自分だけこんな辛い目にあわせられるのか……?

ゆり「あら? オペレーションの遂行は彼だけじゃないわよ? あなたも同行するのよ遊佐さん」

遊佐「………………は?」
 突如、空気が変わり始めた。
ゆり「だから、遊佐さんも彼と一緒にオペレーションに参加するの。いわばパートナーってやつね♪」
遊佐「…………理解、不能です」

 あの無感情なオペレーターから珍しく焦りと動揺の色が見えてきていた。
ゆり「流石に彼一人だけじゃ不足の事態とかの対応に困るだろうし、天使を監視するにも夜になったら天使も女子寮へ戻るわ。その際、男である彼も天使の後をつけて女子寮に侵入するというのはリスクが大きすぎるわ。そういうこと♪」
遊佐「それなら他の戦線メンバーでも―――」
ゆり「言ったじゃない」
 直後、笑みを浮かべているゆりっぺから怖気を感じた。
ゆり「他のメンバーは目立ちすぎるって―――」
 やたらと強調されて言ったこの一言の意味を、おそらく痛感してしまったのだろう。
 遊佐さんはそのまま押し黙ってしまった。
 一見変化はないのだが、なにやらズ~ン……としたオーラが出ているのがわかった。
ゆり「あと、万が一オペレーション内容が天使にバレたりして失敗した場合――――――ここにいたことが後悔するぐらいのお仕置きが待ってるから……」
 二人同時に怖気と鳥肌が立った瞬間だった。
 あまりに理不尽な試練を押し付けられ、自分の身を案じる保身と、今後どうするかで頭がいっぱいになっていた。
ゆり「そういうわけで、オペレーション名【天使行動監視作戦】を明朝七〇〇時より開始する! 以上! 解散!」
 かくして、ゆりっぺの号令の下、この厄介事の説明会はお開きとなった。


 遊佐さんと二人で対策本部を出ると、遊佐さんは冷たい表情と声で言った。
遊佐「今回の事はとても不本意ですが、くれぐれも私の足手まといにならないでください」
 そう吐き捨てて対策本部前を後にして行った。

………………。

 正直、先が重かった。

一日目

男子寮 AM6:00


 その日の朝はいつもと違って騒々しかった。
 いつもならこの時間帯はまだ爆睡の真っ最中の筈だが、まぶたを開けざるを得ない状態だった。
 部屋のドアを誰かがドンドンと激しくノックしているのだ。
 この激しいモーニングコールを無視できるほどの神経はあいにく備えていなかったので、嫌々ながらもまるで借金取りの差し押さえが来たかのようなこのドアをノックしている主とコンタクトすることにした。

………………。


遊佐「いつまで寝ているのですか? オペレーションまであと一時間を切りましたよ」
 ドアの向こうには―――無愛想なオペレーターがいた。
 一体どうやってその細く華奢な腕と手を使って荒くれ者のようなドアのノックをしたのだろうという謎が生まれた。
遊佐「言ったはずです。『くれぐれも私の足手まといにならないでください』と」
 朝一番早々に今日一番の嫌そうな顔を見たような気がする。
 そしてオペレーションの事をすっかり忘れていた自分がいた。
遊佐「早く起きて用意してください。悠長に朝食を食べる暇はありませんのでこれを差し上げます。外で待ってますからさっさと着替えて用意してください」
 そう言うと銀色のパックに入ったゼリー飲料を置いていくとさっさと出て行ってしまった。
 一人ポツンと部屋に取り残され、置かれたゼリー飲料を見下ろした。
【朝めしゼリー 揚げ出し豆腐味】
 ……彼女はいつもこんな物を食べているのだろうか?
 また一つ、謎が産声を上げた瞬間だった。


 手早く制服に着替え、とても不思議なゼリーを飲んで、身だしなみを整えて足早に部屋を出た。
遊佐「準備は整いましたか?」
 部屋を出てすぐ横に遊佐さんは立っていた。相変わらず冷たい感じがする。
遊佐「…………あなたはアホなんですか?」

……?

 こちらを見るや、遊佐さんは無表情ながらも、より一層険しい感じになったような気がした。
遊佐「隠密行動だというのに、戦線メンバーの制服を着てどうするのですか?」

!?

 確かにアホだ。バレずに天使を監視するというのに、戦線メンバーが着る専用の制服を着るなど、自分がここにいると言っているようなものだ。
 気付くのがあまりに遅いが、遊佐さんは戦線メンバーのセーラー服ではなく、普通にNPCたちが着ている模範通りのブレザーの制服を着て、通信伝達用に常備していたインカムを外していた。
遊佐「早く着替えなおしてきてください。これでオペレーションが失敗したらあなたの責任ですよ」
 その凍てつくような言い方に心砕けそうだったが、ゆりっぺのお仕置きの方が恐ろしいので、あえて心砕けるのは甘んじることにした。
遊佐「なにをボサッとしているのですか? オペレーションに支障をきたすので早くしてください」

……!!

 保身の名の下、大急ぎで模範制服の学ランを出して着替えることになった。
 かくして、一週間のおぞましいオペレーションが幕を開けるのであった。


女子寮前 AM7:00


 人目がつかぬように二人で茂みの中に隠れて天使が現れるのを待つ。
 まだこの時間帯から登校する学生はあまりおらず、部活の朝練に行く学生や、よっぽどの優等生ぐらいだ。
 天使は優等生の部類だろう。学園の生徒会長だし。
遊佐「…………」
 すると横のほうにいた遊佐さんがゴソゴソとカバンから何かを出していた。

……?

遊佐「これはゆりっぺさんからのオペレーションの指令書です。この方針に従ってオペレーションを遂行せよとの指示ですので」
【最重要極秘事項】と赤い字で書かれた茶封筒を取り出して開けると、数枚ほど束になってるA4サイズの紙が出てきた。
遊佐「………………!?」

一瞬だが、遊佐さんの顔が引きつったのが見えた。
 その様子から、指令書に何かよからぬことが書いてあるらしい。

…………?

遊佐「!? ……あなたは閲覧禁止です」
 遊佐さんは指令書を隠そうと身を翻したものの、その勢いで数枚ほど周りに散らばってしまい、そのうちの一枚を手に取って見てみた。

………………。

『オペレーション遂行中の際の二人は模範学生を装い、天使の行動を常に監視すること』

 特に以上は見られないと思ったその矢先、目で追いながら読むも、その文章を見て目を大きく見開いた。
『また、常に二人で行動するため、周囲への偽装として二人は恋人同士を装うこと』
 ……なんというイレギュラーな事態だ。
 行動中における外部からの干渉によるものではなく、内部からのモノによって発生したこのイレギュラーな事態にどう対応するか……無論、指令書を無視する意外にない。
『追伸 この指令通りに行動できない場合は自分の性別を呪いたくなるようなお仕置きが待ってます! 以上』

………………。

 これはイジメだ。

 生きていた頃ならまだしも、死んでからこんな目に遭うなど、誰が予想して思うだろうか。
遊佐「これからあなたは私の半径5メートル以内に入らないでください」
 言わずもがな拒絶の現れだった。
遊佐「! 天使が現れました。私の5メートル以内に入らない程度について来て下さい」
 支離滅裂で無理難題を押し付けてくるリーダーに、毒舌を吐く無愛想なオペレーター。
 ……果たしてこんな環境下で一週間を生き残ることが出来るのだろうか。

………………。

 ただ今は、なるようになって早く時間が流れていってくれることを願うだけだった。


学習棟B棟 AM9:00


一時限目の授業

 いつもだったら参加しない授業。
 しかし今回は天使の監視ということもあって参加をしている。
 かと言って真面目に授業を受ける訳にもいかないので、先生からの説明は右から入って左へ抜けていくと行っ
た感じだ。
 少し離れた方に遊佐さんが座っているが、まるで石像のように動く気配がない。
 あたかも真面目に授業を受けているようにも見える。
 監視目標である天使はどうかというと……。

………………。

 特に変わった様子もなく、黙々と授業を受けている。
 そんな授業中になにかやらかすなど天使に限ってまず無いだろうから正直な話、あまり監視する必要はないのでは? と思ったりする。
 とりあえず言えることは――――とても優等生だとしか……。
 他になにも言えなかった。


学習棟B棟 AM9:50


二時限目の授業――――特に変化なし。


学習棟B棟 AM10:40


三時限目の授業――――特に変化なし。

 休み時間も自分の席でジッとしているか次の授業の予習をしているかぐらいなので、なにか怪しい様子もなく、その絵に描いたような優等生っぷりをご披露してくれている。


学習棟B棟 AM11:00


四時限目の授業――――特に変化なし。

 そもそも、天使らしい場面ってなんだ?
 羽はやして先端がハートになってる矢を射ることか? いや、それはキューピットってやつか。
 正直違いなどわからんが……。


学園大食堂 内部 PM12:00


 時間の流れとは早いもので、気が付けばもうお昼になっていた。
 周りの学生は各々で学食や購買、お弁当などを持参している姿が見渡せる。
 天使の後をつけて食堂に到着した現在、天使は辛すぎて誰も手を出さないと言われている麻婆豆腐の食券を購入して学食のおばちゃんから麻婆豆腐と引き換えた。
 多くの学生達がいるにも関わらず、一人誰も座っていない席の方へ行きポツンとした状態で黙々と麻婆豆腐を食べ始める姿に気がかりさを感じつつ、食券で購入したラーメンセットを持って少し離れた席に遊佐さんと座り、監視を続けた。

…………。

遊佐「一日の半分は過ぎましたが、これといったことはありませんね」
 遊佐さんは鞄から今朝もらったあの不思議なゼリーを出してキャップを開けて飲み始める。
 今度はパックのラベルに【昼めしゼリー 厚揚げ豆腐 和風かつお風味味】と書いてある。
 ……一体この世界のどこにあんなモノが売っているのか少し気になった。
 実はこのゼリー、意外と悪くなかったのだ。
 中身はてっきり揚げ出し豆腐味のクラッシュゼリーかと思ったのだが、ゼリーではなくクラッシュ豆腐が中に入っていたのだ。……クラッシュ豆腐というよりおぼろ豆腐と言ったほうがいいのか?
 ひとまず名称はどうあれ、食べられないモノではなかった。
遊佐「ゆりっぺさんは天使のなにか特別な場面を期待しているようですが、おそらくそれを発見することはありませんね」

……?

遊佐「わからないのですか? 天使はそもそも模範を基礎としています。そして私たちはその模範に反した行動をします。天使はそれを修正するのが役目です。なので私たちが何か事を起こさなければ天使も普通の学生ということです」

……………。

 確かに遊佐さんの言うとおりだ。
 天使は別に悪意のある存在ではない。むしろ、この世界のシステム側からすれば、死んだ世界戦線の方が悪だろう。だから、こっちが何か良からぬことをしなければ天使が動くことはない。
 至極当然だろう。
 そして、仮に天使が本当に何かしらの行動をしていたとしたら、自分たちはそれに対抗出来るのだろうか? 
遊佐「何をぼーっとしているのですか? ラーメンのびますよ」

……!?

 気づいて、慌ててのびかかったラーメンをすすり、スープの一滴まで飲み干して、セットで付いてきたチャーハンをかきこむ。
遊佐「早くしてください。そろそろ天使が退席します」

…………!!

 斜めの方角にいた天使は既に麻婆豆腐を食べ終わっており、食器を返却台に持って行こうとしていた。
遊佐「遅いので先に行きます。後から追い付いて来るか、そのまま帰ってください」
 冷たいセリフを置き土産に置いていくと、遊佐さんはそのまま立ち上がって天使を追うべく食堂を出て行った。

………………。

 一人食堂に取り残され、残りのチャーハンを食べていてふと思う。
 遊佐さんって誰にでもあんなに冷たいものなのだろうか?
 何故か自分だけにきつく当たっているような気がしてならない。
 だがその前に、この後どうするかだ。
 チャーハンは食べ終わった。食器も返却台に返した。
 どうする? 天使を追うか? それとも帰るか?
 個人的にはどっちでもいいというのが本音だ。
 なるようになればいいと思うのが自分の考えである。
 
 ………………。

 とはいえ、このまま帰ればあの毒舌オペレーターに負けたような気がするし、ゆりっぺのお仕置きとやらもご勘弁だ。

 そういうわけで―――――天使を追うことにした。
 もう完全に二人を見失ってしまっているが、天使の行動パターンを推測すればすぐに追いつくと確信していた。
 大方の察しはついているので早々に食堂を後にした。


学習棟B棟


 案の定二人は教室にいた。
 椅子に座って窓の景色を眺めている天使に対し、遊佐さんは斜め後ろの席でちょこんと座ってじっとしている。
 特になにかあるわけでもなく、周りでは昼休みを自由に謳歌する学生たちで賑わい、比べて自分、天使、遊佐さんの三人はとても静かで、逆に浮いていた。
遊佐「……来たのですか」

…………?

遊佐「本当に来るとは思いましませんでしたので」

…………。

遊佐「正直、驚きです」
 大して驚いているようには見えないのだが、ウソっぽくも見えなかった。

……?

遊佐「いえ、あなたのことですから、自分の出る幕はないと認識してそのまま帰るかと思っていました」

……。

 言いたいことを言ってくれる……。
 随分と過小評価されているようだ。
遊佐「ひとまず現在のところはさしたる動きはありません。……この後も無いと思われますが」
 右に同じ。
 その後も昼休みの間の天使は大した動きはなく、ボーッとしてたり外を眺めてたり、授業の予習をしているぐらいだった。
 こちら……というよりゆりっぺの思惑とは裏腹な方向へ進みつつ、時間は五時限目の授業へと導いていくのであった。


学習棟B棟 PM13:15

 五時限目の授業――――特に変化なし。

 もうここまで来ると大きな変化など無いだろう。
 少なくとも、授業が終わるまでは……。


学習棟B棟 PM14:55


 六時限目の授業――――特に変化なし。

 このサイクルは無駄としか言えないだろう。
 そもそも天使自身は生徒会長であり、生徒の『模範』であるわけだから授業の時間は授業としているので妙な行動に移るわけがない。仮にあったとしてもそれは放課後だろう。だから結論からすれば、無理に四六時中監視せずとも放課後の時間帯だけ監視していればいいのではないかと思う。


学習棟B棟 PM15:35


 放課後……。

 真面目に聞くわけにもいかない授業がようやく終えての下校時間。正直なところこのまま下校したいのだが、天使が何かしらの行動をとるとしたらこの時間帯であろうから帰るわけにはいかなかった。
遊佐「天使が動き出しました」
 教科書等を鞄にしまい、帰宅の準備が整った天使は教室を後にした。

…………。

 そしてその後を追う。ここからが本番といった所だろう。
 我らがリーダーが望むようなモノは得られないと思うが……。


生徒会室前 PM15:50


 ……無論、予想通りの展開だ。
 なんてったって相手は生徒会長でもある。生徒会室に行って役員と打ち合わせとかするのも当然だ。
 扉ごしに中を覗き込んでみるも、普通に今後の運営方針などの打ち合わせをしていて、特質したところは特に無い。 結果としては『特に変化なし』だ。
 こんな無駄な事をあと六日も続けるのかと思うと、ため息が出るばかりだった。
遊佐「嫌なら帰ってもらっても大丈夫ですよ? 後は私がしますので」

…………!

遊佐「そうですか……あなたも物好きですね」
 ……なぜにここまで皮肉ぶられなければならないんだ?
 そろそろイラッとしてくるぞ。

………………。

遊佐「私こそが物好き? 私はゆりっぺさんの指示で動いています」

…………!!

遊佐「あなたはゆりっぺさんの指示ではなく自分の気まぐれで来たのでは?」

……?

遊佐「昨日確かにゆりっぺさんはあなたに指示を出しましたが、結局あなたは私が来るまで忘れていました」
 このオペレーター……。
遊佐「今あなたは、私がいるからオペレーションに参加しているのではないでしょうか? 私がいなければオペレーションの実行すらしなかったのではないですか?」
 言わせておけば……。

………………!!

遊佐「逆ギレですか? 実にあなたらしいですね。『なるようになる』さん」

……!!

 もうキレた。
 勢いに乗ってそのまま目の前の毒舌オペレーターの胸ぐらに掴みかかろうとした――――瞬間。

???「―――生徒会室の前で喧嘩とは……一体何のつもりですか?」

!?

遊佐「!?」
 いつの間に現れたのか。目の前には複数の学生が控えていた。
 言うまでもないが、彼らが生徒会役員だというのは明白だった。
???「これは僕たち生徒会への挑発行為と受け取っていいのかな?」
 そしてこの露骨な上から目線のいけ好かない奴には見覚えがあった。

…………!

遊佐「そうですか……あなたも物好きですね」
 ……なぜにここまで皮肉ぶられなければならないんだ?
 そろそろイラッとしてくるぞ。

………………。

遊佐「私こそが物好き? 私はゆりっぺさんの指示で動いています」

…………!!

遊佐「あなたはゆりっぺさんの指示ではなく自分の気まぐれで来たのでは?」

……?

遊佐「昨日確かにゆりっぺさんはあなたに指示を出しましたが、結局あなたは私が来るまで忘れていました」
 このオペレーター……。
遊佐「今あなたは、私がいるからオペレーションに参加しているのではないでしょうか? 私がいなければオペレーションの実行すらしなかったのではないですか?」
 言わせておけば……。

………………!!

遊佐「逆ギレですか? 実にあなたらしいですね。『なるようになる』さん」

……!!

 もうキレた。
 勢いに乗ってそのまま目の前の毒舌オペレーターの胸ぐらに掴みかかろうとした――――瞬間。

???「―――生徒会室の前で喧嘩とは……一体何のつもりですか?」

!?

遊佐「!?」
 いつの間に現れたのか。目の前には複数の学生が控えていた。
 言うまでもないが、彼らが生徒会役員だというのは明白だった。
???「これは僕たち生徒会への挑発行為と受け取っていいのかな?」
 そしてこの露骨な上から目線のいけ好かない奴には見覚えがあった。


遊佐「人を巻き込んでそんな場当たり的な行動ばかりされると、迷惑です」
 ………………。
遊佐「…………ですが、私もあなたに少し強く言い過ぎました……」
 ……ん?
 今あやまったよな?
遊佐「…………………………助けていただきありがとうございます…………」

!?

 い、一体何が……?
 物凄く小さい声だが、今度は礼を言ってきた……。
 この短時間の間でものすごい変化が起きているのはもはや認めざるをえないことだろう。

…………。

 そして冷静になって自分の落ち度を振り返り反省する。
遊佐「いえ、あなたは確かに悪いところもありましたが、私にもありましたので……」
 う~ん……なんとも言えないコメントだ。
 とりあえずはこれで良いのだろうか?

………………。

遊佐「なんですかその手は?」

 オペレーション【天使行動監視作戦】指令書2ページ5行目。
『また、常に二人で行動するため周囲へ違和感と思われぬように二人は恋人同士として装うこと』

 それを察した遊佐さんは、その手に応えることなくスルーした。
遊佐「調子に乗らないでください変態」
 またしても冷たい言葉で一蹴されてしまった。
 この無愛想なオペレーターと和解するには、まだまだ時間がかかりそうだ。
 ……まぁ、なるようになるだろう。
 空を見上げると夕日と青空が混じり、その色に染まる雲や空がとても幻想的になっていた。



 最終下校時刻になり、ほとんどの学生が寮に戻り、天使もまた自分の寮へと帰っていった。
 結局ソレらしい収穫もなく、良くて本日の天使の行動スケジュールくらいだ。
 模範が基礎になっているのだろうから、明日もこのスケジュール通りの行動をするのだろうなぁと目を細くしながら思った。

遊佐「では、本日はこれで失礼します。後の事は私にお任せください」

……。

 ……というかあなたにしか任せられないだろう。
 女子寮へと去って行く遊佐さんの後ろ姿を眺めながら心のなかで呟いた。
 自分のような一男子が女子寮に忍び込んでバレでもしたら単なるお説教だけじゃ済まされないだろう。
 流石に女子寮までは尾行が出来ないので後の事は遊佐さんに任せてそのまま男子寮に帰ることになった。


男子寮


 いつもより長く感じた一日を終えて、ようやくの家路に到着してベットの上に大の字になろうと思ったのが今から約15分ほど前のことだ。
 その思いは15分経った今も実現していない。
 もうこの扉の向こうは完全に自分だけのフィールドというのは必然であるにもかかわらず、この最後の一枚の壁――――ドアが開かないのだ。
 鍵を忘れたわけではない。日頃施錠はしっかりしているし、今日もちゃんと施錠して制服のポケットに入れてた。今もこうしてこの手のひらにある。
 にもかかわらず、何故このようなもどかしい思いをしているのか……理由は簡単だ。

 鍵が合わないのだ。

 今朝までは彼はしっかりと相方と仕事をしていた。しかし、今では相方と喧嘩して解散した漫才コンビなのか、お互い分かり合えずにそのままピンになってその役目を担えなくなってしまった。
 一向に理解をしてくれない相方になんとか理解してもらおうとガチャガチャと乱雑な音を立てて彼を差し向けるも、相方が口を開くことはなかった。
 なぜドアが開かないのか?
 その答えは理解してもらえない彼をうっかり手を滑らせて地面に落とした時に見つかった。
 それは、ドアの隙間に控えていた。
 一枚の白い便箋。
 差出人が書かれている場所には『死んだ世界戦線』を示すであろう『SSS』の文字が刻まれている。

………………。

 このたちの悪い類のサプライズ企画に顔をしかめながらも便箋を丁寧に開封し、中身の本文を読んだ。

『あなたの部屋の鍵は変えさせてもらったわ。オペレーションの七日間、遊佐さんの部屋で暮らして一緒に天使を監視するように  ゆり』

………………………………………………………………………………………………………………………………。

……………………………………………………は?
 もう一度読み直す。

『あなたの部屋の鍵は変えさせてもらったわ。オペレーションの七日間、遊佐さんの部屋で暮らして一緒に天使を監視するように  ゆり』

 な、なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!

 一体どういう事だ!? 何故こうなった!? 落ち度はなかったはずだ!! 普通にオペレーションは遂行していたし、対処しきれないところをカバーするために遊佐さんがいるのではないのか!?
 この訳の解らん展開に一心不乱となるのはもはや確定事項だろう。
 そうまでする理由とは一体なんなんだ!?

 その答えは文面の最後の方に書いてあった。

 『P.S.予告通り自分の性別を呪いたくなるようなお仕置きを執行させてもらったわ。これ以上の辱めを受けたくなければ、指示通りに行動するように。あと、あなたの貴重品とかの私物は全部遊佐さんの部屋に運んでおいたから感謝するように! 以上』

………………………………………………………………………………………………………………………………。

 は、はは……はははは…………。
 このおぞましい結末を、誰が予期しただろうか?
 なるようになってしまったこの結末に、ただただその先の自分にとっての楽園と言える部屋の扉の前で立ち尽くしていた。



女子寮


 夕食を学食で済ました後、完全に暗くなり人気がなくなった周囲を見計らい、コソコソと秘密の花園へと足を踏み入れようとしていた。
 踏み入れた秘密の花園の廊下は人気が無く、殆どが寝静まっているのだろうと予感した。
 そしてご丁寧にも遊佐さんの部屋の場所まで記してくれていたまさに『不幸の手紙』を持って、静まり返った女子寮を彷徨った。
 そうして彷徨って5分ほど、ついに目指したくもないゴールへとたどり着いた。
 この扉の向こうに、これからの自分を奈落へと叩き落す絶望が待っているのだ……。

………………。

 震える手で、恐る恐る絶望への扉へノックする。
 そうして30秒ほど経った頃、絶望への扉がガチャリと音を立てて開いた。
遊佐「……………………」

………………。

遊佐「……………………」

………………。

遊佐「………………大きな声を上げるので少し待ってください」

……!?

 どんな感じに大きな声を上げるのかという疑問と期待を抱きつつも、最終的に自分の保身を優先としてそれを静止した。
遊佐「一体何の用ですか?」
 ……白々しい。
 キョトンとした顔でこちらを見てとぼけたつもりだろうが、部屋の奥には勝手に運び込まれた自分の私物と、同じようにそれを知らせる『不幸の手紙』があるだろうに。

………………。

遊佐「………………」

………………。

遊佐「………………」

 ここにまた一人、現実に屈した者が増えた。

……………………。

 自分でもダメ出ししたいと思うくらいなぎこちないしゃべり口調で遊佐さんに事情を話した。
遊佐「存じております。私の部屋にあなたの物と思われる私物が入った箱があります。正直言って邪魔です」
 そうですよね~……自分でもそう思う……。
遊佐「とても不本意な事態なのですが、事情が事情ですので入室を許可します」

!?

 ほぼ九割は門前払いを覚悟して水杯すら飲んできたというのに、この予想外の展開はまさに地獄に仏としか言えない。部屋の主人からの了承を得ることに成功したので、ちょっと緊張しつつも、部屋の中へと入っていった。


 初めて入る異性の部屋は自分の想像……いや、想像なんてしたことないな。
 一言で言うととてもシンプルだ。
 遊佐さんとはいえ女の子なのだから少しはファンシーな感じを想定もしていたが、その想定は無用だったようで、この部屋には可愛いぬいぐるみとかグッツはおろか、ファンシーな言葉すらも存在しなかった。
 シミひとつない真っ白な壁に必要最低限の家具や家電等が並んでおり、それら全てには飾り気はない。
 だからといって本当に最低限のものしかなく、生活臭すらしない寝るためだけの部屋というわけでもない。
 ちゃんと本棚とかもあり、小説や難しそうな本が並んでいたりしている。
 このシンプルは最低限のシンプルではなく、おしゃれな意味のシンプルに部類される。
遊佐「まぁ、お茶でもどうですか?」

……!

 なんだかんだで丁重にもてなされているらしく、いつもみたいな悪意は感じない。
 ご丁寧にわざわざ湯のみに緑茶を注いでくれる上にこのお茶がまた物凄く美味しいことこの上ない。
 だが、そんな悠長にお茶を飲んでいる場合ではない。今置かれている状況はとても切迫しているのだ。

………………。

遊佐「………………」
 遊佐さんは何も答えない。
 解説すると、どうやって話を切り出せばいいのかわからないというのが現状だ。
 それは恐らく遊佐さんも同じなのだろう。
 まさか男女一つ屋根の下になるとはお互い思いもしなかったのだからこんな膠着状態になっても仕方ないだろう。
 お互い戸惑って何から話せばわからないのだから。
遊佐「それで、あなたが私の部屋で過ごすことについてですが――――」
 あれぇ~? 一番ありえないだろうと思っていた可能性が実現したぞぉ……。
 ていうか、いきなり敵陣どころか本丸の天守閣まで斬り込んできたぞ……。
遊佐「正直なところ、お断り願いたいです」
 そりゃ当然だろ……。
 何が楽しくて友人でもなければ恋人でもない異性と同棲することを賛同するだろう。
遊佐「ですが、これ以上のゆりっぺさんの報復を受けるのは御免被りたいのであなたとの同居を許可します」

 ……なに?

遊佐「今回のゆりっぺさんの報復の原因は私にもあります。ですので、その罪滅ぼしをするまでのことです。その辺は勘違いしないでください」

…………………。

 そんな勘違いをするほど自惚れてはいないよ。
 むしろ、そんな事を気にしていたことが意外だ。
遊佐「それでは私は今からお風呂に入りますのでこれにて失礼します」

……!?

 いきなり吹き出しそうになってしまった。
 もしもこの目の前のお茶を飲みきっておらず、飲んでる途中にこのつぶやきを聞いたら即死していただろう。
 というか、あまりにも無防備かつサッパリとし過ぎだ。
 これで大丈夫なのか? 遊佐さん……それと自分。
遊佐「…………一緒に入りますか?」

!!!????

遊佐「冗談です。本気にしないでください。キモいです変態」
 ……なんか凹む一場面だった。
 別に風呂に一緒に入れないとかの意味ではないと否定はしておく。
遊佐「それと、私の私物には触れないでください。厳罰です」
 不吉な言葉を残し、浴室へと姿を消した遊佐さんに対してポツンと一人、異性の部屋に取り残された自分……。
 そこはあまりにも気まずく、重々しく、息苦しい空間だった。
 自分の存在を外部に知られるわけにはいかないので、迂闊な行動はまずご法度。
 動かざること山の如くのようにピタリと動きを止め、ひたすらこの時と瞬間が過ぎるのを願った。
 物音ひとつ起こらないこの空間を、遊佐さんが使っているであろうシャワーの水音が耳に入ってくる。
 一つ屋根の下というのが、ここまで気恥ずかしいものとは思いもしなかった。
 これを羨ましいと思っている奴は、同じ体験をした上でなお羨ましいと言えるだろうか?
 結論が出ない自問自答を繰り返し続けた。
 数分後にはそれも飽きてしまい、退屈しのぎに部屋を見渡してみる。
 きちんと整理整頓が整っており、まるでさっき掃除をしたばかりかのような綺麗さだ。
 そのなかでもふと目に止まったものがあった。
 それは部屋の端の方に置いてあるタンスだった。
 別にあの中に遊佐さんのパンツがあるんだろ~なぁ~などと考えたことは……無い――――とは言わないが、それが主目的ではないということだけは弁明しておく。
 気になったのはそのタンスの上に置いてある物。
 壁には戦線の制服であるセーラー服が掛けてあり、その下にあるタンスの上にある物……。
 この世界においてとても貴重な品物でもあり、戦線の活動において欠かせない物―――――遊佐さんが通信用に使うインカムだった。
 ヘッドフォンとマイクの付いたそれは、オペレーターの必需品でもあり、戦線を影で支えている貴重な物だ。
 この世界では携帯電話がないため、通信などによる連絡手段がほとんど無い。
 よくて学園内限定で配備されている電話くらいだ。
 そこで武器と同じように土くれから造られたのがこういった通信道具だ。
 しかしこれらは武器よりも精密で、製造に手間や時間が武器以上にかかるため、多く作ることが出来ない。


 現在これらを所持しているのは、リーダーのゆりっぺや遊佐さんなどのオペレーター担当、あとは一部の少数のメンバーだけだ。
 そしてなにを血迷ったのか、自分は無意識の内にこのインカムに手を伸ばしていた。
 やめておいたほうがいいと言っているのに、身体が勝手に動くのだ。何かを求めるかのように……。

 ペシッ!

 突如この空間に乾いた音がしたのはその時だ。
 一瞬響いたその音の後に、インカムに伸ばしていた自分の右手からジンジンと痛みが感じられたのがわかった。
 さり気ないその痛さに左手で右手をさすった。
遊佐「……それに触ったら絶対に許しません」
 いつの間に現れたのか、真横にはお風呂上りの遊佐さんが立っていた。
 普段よく見る無表情なのだが、そこはかとなく視線から怒りが感じられ刺々しい。
遊佐「これは戦線の支えであり私の支えでもあります」
 怒りを込められていた視線には同時に強い意志も感じられた。
 このインカムはそれだけ大事なモノなのだろう。

…………。

遊佐「以後気をつけてください」
 とりあえずは許してくれたらしい。
 そして今気付いた。
 遊佐さんのお風呂上りの姿に……。
 薄ピンク色に柄が入った上下のパジャマに、いつものチャームポイントでもあるツインテールは下ろされ、ストーレートヘアーになっている。
 いつもと全く違う雰囲気に少し度肝を抜かれた気分だ。
 それにシャンプーのとてもいい匂いがする……これが女の子の匂いなのだろうか?
 まさに未知との遭遇だ。
遊佐「お風呂空きましたのでどうぞ」

!?

遊佐「まだ入っていないと認識しますが、私の部屋では不潔な人間は即刻排除するという法律がありますので」

…………。

 確かに今日はまだ入っていない……。
 しかし、女の子の入った後のお風呂というのが………………これは得なのか?
遊佐「…………言い忘れましたが、お風呂の栓は抜きましたのでシャワーをお使いください」

………………。

 ですよねぇ~。
 ある意味ホッとした。


 お風呂に入るだけでこんなに緊張したのは初めてだろう。
 脱衣所にて緊張感溢れる思いを奏でている自分がいた。
 服一枚一枚を脱ぐのがまるで爆弾解体をしているかのような慎重さだった。

……!?

 気付いたのはその時だった。

 このトラブルは先程のやり取りから想定はしていなかった。
 ここは脱衣所――――だから、これが本来であるというのは認めよう――――しかし……。
 わざわざお風呂のお湯を抜くまでの厳重さを表したにもかかわらず、なぜ脱衣かごを見やすい位置に置き、あまつさえ下着が真上に置かれているのだろう……。
 目のやり場に困るのもあるが、この場合、何故そのようなミスを? という意味で凝視してしまう。
 飾り気のない純白の白いソレは、黒いパンストの上に置いてあり、更に強調性を増すばかりだ。

………………。

 これは試練か? それとも罠か? 
 その問には誰も答えてはくれないだろうが、ここは現状判断の下、脱衣かごを視界に入らない目立たない場所に置いて、何も見なかったかのようにシャワーを浴びて行った。


遊佐「随分お早いお戻りですね」
 部屋に戻ると遊佐さんはちょうど髪の手入れを終えていたところだった。
 いつもと違う髪型と雰囲気で一瞬ドキッとしたりしたが、それは明らかな気の迷いであるのは自覚していた。
遊佐「当然のことですが、私はベットで寝ます。あなたは床で寝てください」

……。

 いや、当然でしょ。
 一体どんな意図があって他人を自分のベットに寝かしつけるだろう。
 こっちも願い下げする。
 それにしても、なんとも気まずい空間だ。
 本音を言えば、すぐにでもここを出ていきたい。
 かと言ってそんなことをすれば、ゆりっぺが次に何をするか知れたものじゃない。
 遊佐さんには悪いが、ここは自分にとって牢獄だった。
 多分遊佐さんも似たようなことを思っているだろう。
遊佐「私はもう寝ます。では」

 手入れを終えた遊佐さんはそのままベットに入り、身体を壁側に向けてしまった。
 この遊佐さんの対応のサッパリさに先程から驚きを覚えていた。
 よくそんな普通に対応できるな……。
 どうやらとても優れた順応性を備えているらしい。
 ひとまずこのまま立ちんぼしてても仕方ないので、私物の詰め合わせの箱に入っていた自分の枕と掛け布団を床に広げてそのまま布団を被って寝転んだ。

……………………。

 いつの間にか部屋は既に消灯されており、暗い部屋のカーテンの隙間からわずかに月明かりが漏れている。
 その光景を見て、ようやく今日一日が終わったのかと実感した。

…………。

 どうにも目が冴えて眠れない。
 いつもと違う空間。他人の部屋の匂い。見慣れない天井。全てが眠れない要因として加担している。

…………………………。

 ダメだ……本当に眠れない……。
 この際寝ずにずっと起きているという手もあるが、それでは絶対に明日に差し支えるし、また足手まとい扱いされるのも御免だ。

遊佐「…………………………」

!?

 いつの間にか、遊佐さんがこっちをじーっと見ていた。
 さっきからの眠れない要因にはこれも絶対含まれているだろう。
 下手したらこのシチュエーションはホラー映画の部類になるだろうに……。
遊佐「あなたは今女子寮にいますので、通学の際は人気のない早朝に出ますので覚えておいてください。では」
 それだけを言うと遊佐さんはまた身体を壁側の方へ戻してしまった。
 その後に小さな寝息が耳に入ってくる。
 個人的に、あの無愛想な毒舌オペレーターがどんな寝顔をしているのかと気になったりもするが、それはそれで大きなリスクを伴うのであきらめた。
 結局そのまま起きているわけにもいかないので、無理にでもと目を瞑って自然と熟睡するのを待った。
 それでもなかなか寝付けないのだろうなと考えていたが、数分もかからずに、徐々に意識が遠のいていき、やがて何も考えられなくなっていった。


???「――――てください……」

???「起きてください」

……?

 なんだ? 誰が起こそうとしているんだ?
 ユサユサと身体を揺らして起床を促してくる。
 どことない心地良さを覚えつつも、名残惜しいが起きることにした。

………………。

 そうだった……ゆりっぺの暴挙でしばらく遊佐さんの部屋で暮らすことになったんだ……。
 つい自分の感覚で自分の部屋で寝ているのかと思っていた。

???「遅いですよ……昨日は私よりも先に寝たと思ったのですが……」

 ん?
 待て、何かオカシイぞ。
 何かが違う……。

???「昨夜は随分と充実した時でしたね。あなたが甘えるものですから……」

 ………………なんだって?

!!!!???

 そして気付く。
 床で寝ていたはずなのに、いつの間にか遊佐さんのベットの中にいる。
 そして隣には――――はだけかけたパジャマをまとった艶やかさ満載の幸せそうにしている遊佐さんが……。
遊佐「……やはりまだ起きたくないですね……ゆりっぺさんには悪いですが、今日のオペレーションはサボっちゃいますか?」

………………。

 それも悪くないな。
 胸に顔をうずめてくる遊佐さんを抱きしめつつ、再びまどろみが頭の上を再来してきて……。

 べしっ!!

 と鈍い音が頭の上に響いた。


遊佐「いつまで寝ているのですか? 早く起きないと外へ出られませんよ?」

……………………。

 そ。これが本来のあるべき姿だ。
 もしもさっきの光景が現実だとしたら、死後の世界とはいえ、夢を見過ぎということだろう。
遊佐「さっさと着替えて支度してください」
 冷ややかな遊佐さんの視線から逃げるように慌てながらも寝巻き替わりのジャージを脱ぎ始める。

べしっ!!

 ……また叩かれてしまった。

遊佐「人前で着替えないでください。大声上げますよ?」
 むしろ聞いてみたい。
 と言ったら本当に大声を出す可能性も懸念されるので保身を優先して脱衣所の方で着替えることにした。


遊佐「当然ながら悠長に朝食など食べる暇はありませんのでこれを」
 と手渡された銀色のパック。
【朝めしゼリー 湯豆腐 生姜醤油風味味】
 …………朝から湯豆腐ですか。
遊佐「では行きましょう」

 そうして今日も天使の監視が始まるのであった。


二日目

 この時点でも確信できるのだが、天使の行動は昨日とほとんど全く変わらなかった。
 基本的にそんな騒ぐタイプでもなければ、友達と仲良くしているタイプでもない……本当に模範の塊のようだ。
 言わせてもらえば、天使はNPCたちよりもずっとNPCらしい。
 それが天使である彼女の個性なのだろう。
 ある意味で言えば、あれもあれで周りにないタイプなので、そういった見方では人間らしいとも言えるので、結局は紙一重だろう。
 よって、行動パー.ターンは読めても、何を考えているかは全く読めないタイプだ。
遊佐「次に寝坊したら普通に置いていきます」

…………。

少なくとも、このオペレーターも普通に何を考えているか読めないタイプだと断言は出来るだろう。


三日目


 聞いてても仕方がない授業を耐え続け、ようやく訪れた昼休憩の時間……。

遊佐「………………」
 基本的に無口なのだが、今日の遊佐さんはいつにも増して無口だなと思いつつ、購買で買ってきたパンにかじりつく。
 というか、遊佐さんはお昼にもかかわらず、何も食べようとしない。むしろ何もない。

…………?

 恐る恐る訪ねてみるも、返事が帰って来ない。

……?

 再度声をかけてみるも一向に返事は帰って来ない。
 まるで聞き耳も立てていない。
 こういう時はどうすればいいのか考えてみるも、過去に前例がないので戸惑うばかりだ。
遊佐「………………」
 それこそ人形に語りかけてるような感じだった。
 電池でも切れたのだろうかとくだらない仮説を考え始めた頃、時は訪れた。

 くぅ~……

……?

 ほんの一瞬何の音かと思ったが、すぐにその音はわかった。

……………………?

遊佐「…………なんのことですか?」
 ようやく口を開いてくれた。
 機嫌が悪そうな感じだが……。

…………。……?

遊佐「私は既にお昼は済ませました」

 くぅ~……


遊佐「………………」
 言葉と裏腹に空腹を知らせる音が真正直に本音を明かしてくれている。
 対して遊佐さんは自分ではないと言いたいのだろうか、こちらから視線をそらしていた。

…………………。

 推測するにお昼ごはんがないのだろう。
 ここ最近はオペレーション・トルネードにも参加していないのでこっちも食券の蓄えが残り少ない。
 いつも持参していた不可思議なゼリーもないようだ。

………………。

 とりあえず手元にあるパンをさし出してみる。
遊佐「別にいりません。あなたの食べかけなど尚更です」
 と言って一向に手をつける気配もない。
 別に食べかけを押し付けているわけでもないのだが……。

……………………。

 仕方がないので余ってしまったこの未開封のパンを外に向けて全力投球してみることにした。

 べしっ!!

 突如頭を何者かにひっぱたかれた。
 そして投げようとしたパンが手から消えていた。
遊佐「食べ物を粗末にするのあなたは最低です」
 一体なにが起こったのか、投げようとしたパンは遊佐さんの手の内にあった。
遊佐「よって、これは私が責任をもって処理しておきます」
 あいも変わらず冷たげな態度であったものの、どことなくパンを受け取ってもらえたことに安堵していた。


四日目


 四時限目の頃、いったん監視を遊佐さんに任せて教室を抜けだした。
 向かった先は……言うまでもない。


対天使対策本部


 本部にはちょうどゆりっペだけだったらしく、今回のことについて抗議も兼ねて馳せ参じた。


 本心明かせばそろそろ限界だ。

…………!! ……………………!?

ゆり「あれはあなた達が指令書通りにやらなかったからじゃない。ちゃんと事前に警告もしといたでしょ?」


 確かに書いてあったが、まさかこのようなことになるとは思いもしなかった。
 なにより、遊佐さんが随分と敵対的でもあったわけだし。
 これ以上は遊佐さんに迷惑はかけられないし、身がもたん。

…………………。………………!

ゆり「そうかしら? 別に遊佐さんはそれほどあなたを嫌っていないと思うわよ?」

……? …………。

ゆり「嘘じゃないわよ。ここ三日間のこと遊佐さんと会話したけど、天使に関することより、あなたのことばっかり話してるわよ」

…………!? ……?

ゆり「どんな? って……あなたがどん臭いとか、だらしがないとか……」

………………。

ゆり「そんな凹むことないじゃない。遊佐さんなりの愛情表現よ!」
 果たして本当にそうなのだろうか?
 自身あり気に主張するゆりっぺとは反対の考え方をする自分がいる。
ゆり「ほら! いつまでも腐ってないで天使の監視に戻りなさい! こっちも色々と忙しいんだから!」
 そのままゆりっぺに追い返される形で戦線本部を後にした。
 結局なにも進展のないままゆりっぺとの会談は終わってしまい、とぼとぼと天使と遊佐さんのいる教室へ帰ってきた。


遊佐「…………少し遅すぎじゃないですか?」
 教室に戻ると、いつもより遊佐さんは機嫌をわるそうにしていた。


五日目


 その日はちょっとしたトラブルがあった。

学習棟B棟


 どうにも先日の生徒会前での一件で、直井文人が探りを入れてきているのだ。
 直井の使いと思われる生徒会役員に先程から監視されている。
 会長である天使のやり方にしてはいささか陰湿なのでおそらくは直井の独断での行動だろう。
 言うまでもないがこれは非常に厄介なことだ。
 天使を監視しているこちらを逆監視しているうえに下手なことをすれば直井はおろか、天使にすらこちらの素性がバレてしまう。
 
……………………。

遊佐「申し訳ございません……これは完全に私のミスです……」

………………。

 流石にそのまま『そうだお前のせいだ』などと言えるほど落ちぶれてはいない。
 そのまま流れに乗って逆上した自分も自分だ。
 ともあれこの状況をどうするか? というのが現状の課題だ。
 こう監視をされていては他の戦線メンバーやゆりっぺとも接触できない。
『自分たちで対処せよ』ということだ。

…………。

遊佐「……なにか提案でもあるのですか?」

…………………………。

 考えた末に出た最も適切かつ最善の策が浮かんだ。

……………………………………。

 しかし逆から言えば他に策がないための苦渋の決断だ。
遊佐「………………拒否します」

……。

 言うと思っていた。
 しかしそのままその拒否権を通すわけにもいかないのがこの現状。
 ここは遊佐さんに折れてもらうしかなかった。


…………………………。………………?

遊佐「……………………」
 遊佐さんは目を細め、苦虫を噛んだような表情をした。
 日頃無表情にしている人がこうも露骨に嫌そうな顔をすると少し凹んでしまう。
遊佐「……………………わかりました」

……。

 遊佐さんはとても不本意そうな感じながらも了承をしてくれた。
 後は監視をしている生徒会役員が引き上げてくれることを祈るだけだ。
 まぁ、なるようになってくれるだろう。
遊佐「……天使が動き出しました」

……!

 授業を終えた放課後、さっそく策を実行することになった。
遊佐「……………………」
 遊佐さんは顔をそらしながらも、腕を絡めてきた。
 それこそ世に言う恋人同士であるかのように……。

役員「……?」
 生徒会役員と思われるNPCの男子生徒はこちらを見ていかにも『疑問』と表したような表情をしていた。
 この体制を維持してさり気なく天使を尾行しつつ普通のカップルを装うというのが最終的に出た案だ。
 だがよくよく考えると、この方法は前にゆりっぺが用意した指令書と同じことではないかと今さら気付いた。
 そしてこれも今さらだが物凄く恥ずかしい。
遊佐「……………………」
 遊佐さんは腕をしっかりと絡めてきていて少し痛いと思えるくらいだった。
 これで恋人同士に見えていれば幸いなのだが……。


一時間後……。

図書室


 相変わらず天使の行動はあやしいと思われるとこはなく、絵に描いたかのような優等生ぶりを発揮している。
 生徒会がないにも関わらず、学園内を見回ったり、花壇の花に水をあげたり、図書室で本を読んだりしている。
 それを遠巻きから見ているわけだが……未だに監視の生徒会役員が引っ付いている。
 生徒会とはいえ、NPCの学生がここまで根気強いとは思わなかった。
遊佐「……どうするのですか? これ以上このような尾行を続けていますといずれバレますよ?」


 椅子に座り、机を隔てて本を読んでるフリをしている遊佐さんはボソリとつぶやいた。

………………。

 確かにこのままではいずれバレるし、埒があかない。

…………………………。

 この状況を打開できる必勝の策を模索してみる……。

………………。

遊佐「もう終わりですか? 今回も無計画に……!?」

……!!

 思いついた。その実行のために遊佐さんをいきなり引っ張って走りだした。
 無論、図書室なのでお静かに……。
役員「!!」
 気付いた生徒会役員もそれを追う。
 向かった先は近くの人気のない壁や柱で死角などが出来ている廊下。
遊佐「……一体何のつもりですか?」
 死角がある柱を背にして遊佐さんと向き合った。
 後ろの廊下の方から役員のものと思われる慌てて走る足音が響いて近づいてくる。

…………………………。

 もうここまで来てしまっては逃げ道などない。
 ためらいが全くないと言えば嘘になるが、他に手がない。
遊佐「まさかここまで来て何も出来ずじまいですか? 本当にあなたは――――」

……!!!!

遊佐「なっ!?」

 その瞬間――――遊佐さんを抱きしめた。

 小さく華奢で、あまり強く抱きしめたら壊れてしまいそうな繊細な身体をした遊佐さんを抱きしめていた。
遊佐「な、なにを……!!」
 これには流石の遊佐さんもいつもの無感情ではいられずに取り乱していた。
 若干の抵抗はあるものの、本気で嫌ならすぐに引き剥がせる程度の力で抱きしめているが、その気配はない。
 善し悪しはともかく、ひとまずは安心した。


遊佐「…………なんなんですか? 大きな声出しますよ?」
 それはそれで気になるが、ここは保身と打開策実行を優先してそれを制止した。

………………。

遊佐「!?」
 そのまま遊佐さんの頭を優しく撫でながら、お互いの距離を縮めていく。
遊佐「……………………」
 いつもと違って頬をうっすらと赤く染めた遊佐さんは完全に自分に身を任せてしまっていた。
 流れに流れて行き、互いの顔をは徐々に距離を縮め、やがてあと一押しでくっつく距離まで来てしまっていた。

役員「……!! ……!! ……」

 すると遊佐さんを背にした方向から、ようやく追い付いて来た生徒会の役員が激しく息切れをしながら現れた。
遊佐「!?」

……!!

 驚いて離れようとした遊佐さんを離すまいと強く抱いた。

役員「っ!?」

 この光景を見た役員は相当驚いていた。
 無理もない。この役員が見ている方向から自分たちを見ると、ちょうど自分と遊佐さんが抱き合ってキスしているように見えるからだ。
 実際はキスする寸前の距離で寸止めしている。

 ……ギロ。

視線を役員の方に向けて、とても鋭い目つきで睨みつけた。

役員「ひっ!!」
 蛇に睨まれた蛙ような顔をした生徒会役員は、こらえきれずにそのまま一目散に逃げていってしまった。
 効力はいざ知らずだが、最低でもあと2日は現れてくれないことを願った。
 あと2日……あと2日なのだ……。
 しかし、この2日が1年や2年も長く感じる。
 なるようになってくれることを祈った。

遊佐「………………いつまで私に抱きついているのですか?」

!?


 ついうっかり安心してしまいボケッとしていた。
 慌てて遊佐さんから離れようとしたが、突如その遊佐さんがそれを拒んだ。

……!?

遊佐「……もう少し、このままでいさせてください」
 遊佐さんはしばらくの間、その場から離れようとはしなかった。

………………。

 どうにもできそうにないので、遊佐さんが満足するまでそのまま付き添うことにした。
 日は西日に陰りはじめ、廊下を赤く染めていた。



遊佐「先程はすみませんでした」

……………。

 空は既に暗くなっており、人気のない学園の道を二人並んで歩く。
 今はもう生徒会――――直井からの監視はされてないと思うのだが、遊佐さんはさっきみたいに腕を絡めてきている。
 恥ずかしいといえば恥ずかしいのだが、嫌とは思わない。
 こんな時間がもっと続いて欲しいとすら思えてしまう。

……………………?

遊佐「私は大丈夫です。それよりも、先程の一件で天使をしばらく見失ってしまいました」

…………。

 さっき不覚なことに、なんとか監視の目から逃れようと躍起になっていたあまり、ついうっかり天使を見失ってしまうという失態を犯してしまったのだ。
 当初のオペレーション内容としては、痛恨のミスだろう。
 でも実際のところ、天使は学園の見回りをしていたのですぐに見つかった。
遊佐「今回のことは…………あなたにも責任があります」

……!?

 とても重々しい発言が突き刺さってきた。
 だがそれほど攻めるような感じではないような感じだ。
遊佐「…………責任、とってください……」
 何かを求めるような口調で遊佐さんは言った。

……。

 その後、静まり返った女子寮の遊佐さんの部屋に戻るまで、ずっと腕を絡め合っていた。


To be continued

送信中です

タイトルとURLをコピーしました