隷堕の黒剣士2話

隷堕の黒剣士2話

「――――っ!!」
 気が付くと、桐ヶ谷和人は見覚えのある天井を見上げていた。
 自宅の自室。それまでは病院に通って安岐ナツキのモニタリングの下GGOにログインしていたが、利用頻度が大幅に増えてきたので、自宅に設置した簡易機材で調査データ送信するという形でを現在は自室からGGOにアクセスしている。
「っ……」
 彼らから解放され、ようやくログアウトできたのは、ほぼ一日ほど経った頃だった。
 それまで桐ヶ谷和人――――キリトは、彼らに犯され続けていた。
「――――う……っぷ……ッ!!」
 突如、激しい嘔吐感が和人に襲い掛かる。
 胃の中が逆流し、必死に口を手で押さえてトイレへ駆け出した。
 長い時間飲まず食わずだったはずなのに、それでも気が済まないのか、胃からはあるもの全てを吐き散らし、なければ胃液までもがせり上がって来る始末だ。
「っ……」
 最後の光景は、男たちに囲まれ、彼らの溜まった欲望のはけ口にされ、白濁の精を身体中に撒き散らされ、マーキングをされた自分。
 そして、邪悪に嘲笑う奴らと、『あいつ』の姿――――
「…………うっ」
 おぼろげな記憶ながらも和人は再び強い吐き気を催した。
 今まで経験したことのない行為。
 本来であれば女性と行うはずの行為と認識していたものだが、同性の男性とするとは考えもしていなかった。
 しかも自分を女性に置き換えて彼らは陵辱の限りを尽くした。
 わずか一日でキリトの日常を狂わしたこの出来事は、キリトをGGOから離脱させる理由としては十分過ぎた。
 しかし、キリトはGGOを離脱することが出来ず、彼らもキリトに対する辱めは止む気配がなかった。

「オラッ! ちゃんとしっかり咥え込めッ! 歯ぁ立てんじゃねぇぞ!」
「んぶぅッ! じゅぶッ! じゅぶッ! ぐちゅ……ぢゅるる!」
「乳首こんなに硬くこりこりにしちゃって、ほんと乳首いじめられんのすきだよねぇキリトちゃん」
「ぶぐっ……ん、んぐッ! んうううううッ!!」
「ああぁ……キリトちゃんっ……俺、そろそろイクよ! 顔で、受け止めてっ!!」
「うああ……キリトちゃんの髪、最高だよぉ! 俺も出るからキリトちゃんの黒髪、汚してあげるね」
「なら俺も射精すぞ! 口で一滴も残さず飲み込めよっ!!」
「んぐうううッッ!! ん”ぅッ……ぅぶうッ!! んッ、んッ! んううううううううううううッッ!!」

 犯されていた場面を一部始終録画され、それを口実に彼らはキリトを脅し、犯し続けた。
 GGOにログインすれば白濁に染まらない日はなく、ひたすら男たちの精を受け続け、着実に牝としての躾を教え込まれていく。
 そうしていつしか、キリトの身体と精神に変化が訪れた。

「っ――――」
 突如襲って来る耳鳴りと頭痛に和人は頭を押さえる――――

 や、やめろぉ! 俺は男だぞ! こんなの望んでないっ!
 ――――は、ぁ……あ、きもひいよぉ……もっひょぉ! もっひょいひめへぇ!
 気持ち悪い……俺は……男なんだぞ…………お前らみたいなクズは、必ず……潰してっ……!!
 ――――んっ、んっ……ふぁ、あ……ち○ぽ! ち○ぽいい! もう、女の子でもいい! 気持ちいの好きなの! ねぇ、フレンド登録して? これからもっともっとエッチになるから!
 俺は絶対、お前らの思い通りになんかならないッ……!! 
 ――――っくあああああ! な、なりましゅ! 俺っ、今日からご主人しゃまの男の娘奴隷になりましゅううううううっ!!

「うるさいっ!! 黙れッ!!!!」

 耳鳴りと頭痛と共に現れる理性の自分と本能の自分。その二つの自分に板挟みにされたキリトは、心身ともにボロボロになっていた。
 架空の世界で経験する快楽。しかしながらその感覚は脳裏にしっかりと焼きつき、現実に戻っても身体はその時の快楽を麻薬のように求めだす。
 火照り切った身体は水を浴びても熱が冷めず、吐く吐息まで熱を帯び、衝動的に高まる性欲をなんとか鎮めようと自慰に浸る。
 だがいくら自分を慰めて幾度となく絶頂を迎えてもキリトの心の奥底ではモヤモヤと黒い霞がかった何かが渦を巻いていた。

 ――――これじゃない。自分が求めているのはこれじゃない――――

 何度自慰を繰り返しても真の満足を得られない自分に苛立ちを覚えていた。
 内心では気付いていた。この不満を解消する術を。自分が本当は何を望んでいるのかを。

 ――――――――犯されたい。

 慰み者にされ、身体のありとあらゆる箇所を蹂躙し、むしゃぶりつく男たち、それに隷従する自分の姿にこの上ない性的興奮を高鳴らせていた。
 故にいくら自慰で己を慰めても心は満たされず、癒やされず。
 冷めぬ身体の火照りと求めても得られない欲求への不満ばかりが募る。
 キリトは『自分が犯される』という行為を渇望し始めていた。
 そうして最後に行き着いた先が――――GGO。
 あの日、あの時、あそこにいた彼らを、無意識の内に目で追って探していた。

 ――欲しい。
 ――欲しい。
 ――欲しい。
 ――――が、欲しい。

 喉の渇きを潤す水を探しているように、キリトは奴を探す。
 欲しいものが手には入らないだけでこんなにも苦しい思いをするなど、思ってもみなかった。
 こうしている間も身体の芯は熱く火照り、吐く吐息は熱を帯び、身体は肌に服が擦れるだけでも妙な気分にさらされる。
 そんな矢先――――
「珍しいな。お前から俺の前に姿を現すとは。今日は呼んだ覚えはないが?」
「っ!」
 いきなり声を掛けられ咄嗟に振り返ったそこに――――奴がいた。
 並々ならぬ動きでキリトを翻弄し、接近戦でキリトを打ち負かして、その後キリトを拉致、辱めた主犯格の大男、鬼城が。
 その姿を目にしても、驚くこともなければ恐れる様子もない。ただ俯いたままで立ち尽くし、身体を小刻みに震わせている。
「――――れない」
「なに?」
「……もう、抑え切れない…………疼きが……治まらないんだ……」
 一人で満たすことの出来ない欲望。
 その生き地獄のような辛さに耐え切れなくなり仕舞いにはぽろぽろと涙を零し、キリトは懇願した。
 屈辱で耐え難きを耐えてまで満たされない渇きを満たすため、彼は目の前の男にすがる。
「――――来い」
「っ!」
 それまで絶望に染まっていたキリトの表情が一瞬だけ綻んだ。
 暗い影を残しつつ期待感を抱いたキリトは鬼城に手を引かれ、雑踏の中へと消えて行った――――


 ※
 
「お前の願いを叶えてやる前に確認したい」
 鬼城がキリトを連れて行った場所は、窓が無く、無機質な金属の壁とむき出しのコンクリートの床の部屋。
 それはかつてキリトを拉致して慰み者のように仲間たちと犯し続けたあの場所そのものだ。
 キリトにとってはトラウマに等しい場所だが、今回は枷で拘束もされず、他の男たちの姿もなくキリトと鬼城の二人きりだったのでそれほどショックには陥らなかった。
「俺やあの馬鹿共はお前をハメてここに拉致してお前をレイプした。お前から言えば俺らは最低最悪の悪党だ。通報されても文句は言えん。それを承知の上でお前は俺に犯されることを望むのか?」
「もう、わからないんだ……どっちの自分が正しいのか……」
 理性と本能は互いの意思が反しており、キリトは今もその板挟みになっている。
 性を欲する身体に理性は抑圧を命じ続ける。結果、精神をすり減らし、心は荒み、渇いた苦しみから己を救う道は、理性を捨てて快楽に身を任せるしかないと決心するまでに至っていた。
「こんなことしたらダメだってことはわかっているんだ。けど身体が、心の奥底の俺が……欲しがるんだ……」
「………………」
「なぁ、教えてくれ……俺は、どうすればいいんだ? ―――っんぅ!?」
 キリトは一瞬何が起きたのかわからず困惑した。
 目の前の男がキリトの唇を奪っていた。
「っ……ちゅぷ、ちゅるっ……ん、ふ……っ」
 口内を舌で蹂躙される。口の中全体、舌も歯の裏もくまなく舌をねじ込まれ、キリトの口内は犯されていった。
「ふ、ぅ……んっ、ちゅ、ちゅぅぅっ……ちゅりゅ……ちゅぷっ……」
 次第にキリトの目もトロンとし始め、無意識に自分からも舌を絡める。
 キスにすっかり夢中になってるキリトの腰を鬼城は強引に抱き寄せて言った。
「委ねればいい……全てを俺に。牝として俺に仕え、奉仕しろ。身も心も俺に全て捧げろ」
「すべ、てを……?」
「そうだ。お前を牝として愛でてやる。俺はお前の望む快楽を与え、お前は俺の望む快楽を捧げる。俺を主とした主従関係……それがお前に残された道だ」
「!」
 キリトは消沈していた瞳を見開いた。
 目の前に救いの手が差し伸べられたのだ。
 だが皮肉にも差し伸べている手は自分を現状に陥れた憎き張本人。
 しばらく沈黙したキリトは俯いたままその場に座り込んで己を自嘲した。
「……バカみたいだな、俺。今まで散々憎悪して吐き気すら催して憎んでいた相手を、今じゃ一番欲しいと求めている……」
 彼以外、この道を差し伸べてくれる人はいない。抑圧された本能はついに理性を上回り、押し止めていた本心がどんどん込み上がっていく。
 やがてゆっくりと顔を上げて鬼城と向き合い、キリトは内に秘めていた己の望みを解き放った。
「俺を……犯してください……もう、あんたの牝になってもいい……この疼きを、鎮めてくださいっ!」
「……いいだろう」
 鬼城はその言葉を待っていたと言わんばかりに勝ち誇った笑みを浮かべると、キリトを自分の前に引き寄せた。
 そして反抗の牙が抜け、すっかりしおらしく従順になったキリトの両肩に鬼城は両手を置いた。
「っ」
 肩から舐め回すようにキリトの身体全身に両手を這わせる。
「……ぁ」
 肩、腕、胸、腹、背中、尻、局部、脚、を往復して最後に首、頭、顔へとひと通り身体をなぞり終えると再び両手を肩の位置に戻した。
「――――防具を外せ」
「……はい」
 以前のように抵抗すること無くキリトは素直に従って装備している防具を解除した。
 抵抗していた時は防具を鬼城に強引に引き剥がされて壊されてしまったが、今解除したものは鬼城に新しく買ってもらったものだ。
 よほどのお金持ちなのか、鬼城が買った防具は壊されたものよりも遥かに高性能な高級品だった。
「ん……」
 防具の下は柔軟性のある生地のインナーを身に纏い、表面を指でなぞると滑らかな平面の曲線だったキリトの胸の上にぷくっと小さな突起が二つ現れた。
「ぁん……胸、ですか……?」
 現れた突起をインナーの上から指で突起の上を擦り、何度もそこを往復する。
「あっ……ん……」
 キリトは目を瞑り、恥ずかしそうに頬を赤く染めているものの抵抗はしない。
 熱い吐息を吐き、伝わって来る刺激に身体をふるふる震わせ、鬼城の愛撫を受け続ける。
「めくってみろ」
「っ……はい……」
 言われるがままキリトが恐る恐るインナーをめくると、その下からはやはり白く透き通った美しい肌に小粒のピンクパールの様な淡いピンク色をした形の綺麗な乳首。
 あの日鬼城たちにレイプされてから数週間、性感帯であると見抜かれたキリトの胸は彼らの開発の下徹底的に弄り回され、感度は以前よりも倍増していた。
「馬鹿共が随分夢中になって弄っていたな。感じるのか?」
「っ……はい。感じ、ますっ……っ! んっ……」
 指で直に乳首を摘まれ、クリクリと弄り回すとビクッと身体を震わせ、しきりに声にならない声を漏らす。
「あ……んんぅっ! はっ、はぁぁっ! ……ん……ふ……」
 キリトは自分の中で、徐々に身体が高揚していくのがわかった。
 ――――これだ。この感覚が欲しかったんだ――――
 自分で慰めても満たされることがなかった快感。その末に苦悩し続けたキリトを救ってくれたのは、皮肉にもキリトをそうやって貶めた鬼城張本人だった。
 彼にはまだ言葉や扱いに粗暴さはあるものの、かつてのように己の快楽だけを満たすような一方的な欲望ではなく、キリトを気持ち良くさせようとする気遣いと優しさがあった。
 それを察したキリトはどこか安らげるような安心感に包まれて、そのまま鬼城に背中を委ねた。
「俺……変じゃありませんか? こんな………おっぱいで、感じるなんて……」
「気にすることはない。お前はただ、ありのままを受け入れればいい。そして俺は、お前の全てを受け入れてやる」
「っ――――はい」
「今後、喋り口調も『俺』から『わたし』に変えろ。お前はもう男ではない……男を悦ばす牝だ」
「んああっ! わ、わかり……ましたぁ……!」
 肯定する返事を聞いた鬼城はフッと一瞬だけにやけるとそのままキリトの乳首を口に含みを吸う。
「ふああぁッ! あっ……あっ、あっ……! っあぁ……!」
 唾液のぬめりと舌のぬるぬるとした動きが混同し、キリトの乳首を刺激する。
 同時に口内で吸引される圧迫感が乳首に更なる興奮をかき立て、キリトを快楽の渦へと巻き込む。
「いい…………おっぱい……吸われてきもちいよぉ……っ、ああっ!」
 本音を口走る度に快感がより一層高まる。
 いくら己の意思で否定し、偽ろうが身体は常に正直だ。
 以前の自分はそれを理解していなかった。
 拒絶し続けていたこの行為だが、いざ受け入れてみればどうということもない。
 彼が与える快楽はボロボロになった心を癒やし、満たし、まるで愛の営みのような安心感と快感に常に包まれる。

 それはまるで――――――――アスナと一緒にいる時のような――――――――

「………………っ!」
「……どうした? 一瞬顔に迷いが見えたぞ」
「い、いえ……別に」
 その瞬間だけ、快楽に溺れる自分の前に理性の自分が姿を見せた。
(何故、今になって……?)
 ここに来てキリトの中に妙な違和感のある凝りが残った。
「なら、こいつに奉仕してみろ」
 鬼城がキリトの胸から離れると、己の下半身を指差す。
 それはズボンの上からでもわかるくらいたぎりにたぎり切って、ズボンを食い破ってしまうのではないかと思えるくらい異様な膨らみとなっていた。
「っ……はい」
 キリトは鬼城の膝元までひざまずき、ズボンのチャックに手を掛ける。
「っ!?」
 半分までチャックを開けた直後、ソレはブルンと勢い良くキリトの前に暴れ出た。
 それはドクドクと脈を打ち、間近で見ればジワジワと熱気が伝わり、先端からは透明のぬるっとした液体が漏れている。

 何よりもすごいのが、ムンムンと鼻を突く猛々しい雄の臭い――――
「っ……ゴク」
 自分のよりもひとふた回りも大きく、様々な刺激を放つこの欲望の塊にキリトは生唾を飲んだ。
「これをずっと欲しがってたんだろ?」
 なんて魅力的な言葉なのだろう。
「はい……ずっと欲しかったです……」
 求めて求めて求め続けた。
「お前の好きなようにしてみろ」
「は、はいっ……」
 眼前に現る鬼城の巨根。
 手でそっと握ると、肉とは思えないほどの鉄のような硬さと、やけどでもしてしまいそうなくらいにたぎり切った熱とドクンドクンと激しく打つ脈が握る手のひらいっぱいに伝わって来る。
(これが……俺っ……わたしのために興奮した…………おち○ちん……)
「っ、ちゅ…………んっ、ペロ……」
 先端に口付けをし、ちろちろと舌先で先端を舐める。
 先端の割れ目からぬるぬるとした透明な液体が舐め取っても舐め取ってもジワジワと湧いて来る。
 自分を犯し続けてきた悪夢の象徴であるはずなのに、今では恋人のように愛しく思える。
「じれったい。咥えろ」
「んぶッ!? んむううぅっ……じゅ、ぢゅりゅ……んぐッぅ……」
 先端だけをこそばゆいように舐めるキリトに物足りなさを覚えた鬼城は、今も萎える気配のない肉棒を強引にキリトの口の中へ押し込んだ。
 突然で驚いたキリトだが、すぐに立て直して口の中を占拠した鬼城の巨根に歯を立てないように気を使いながら舌を動かす。
「じゅぷっ……んぐっ、じゅぷぷぅ……じゅる、じゅるじゅるっ……」
(熱い……それにすごい臭いに味……でも、すごくクセになる…………美味しいっ……)
 恍惚とした表情で口いっぱいに頬張る肉棒に唾液をまぶして舐め回す。
 喉の奥の方にまで届き、根本まで口に入りきらなかったものの、キリトは少しでも全体に快感が伝わるようにと口から手前まで引き抜いてはまた深く咥え込みを繰り返す。
 どうしても届かない根本寄りの部分は咥えている一度口から離して側面から根本部分に唇を吸い付かせ、口内の舌で丁寧に舐め回す。
(美味しい……! 先走りの汁が、こんなに美味しいなんて……もっと、もっと欲しい!!)
「んあっ……ぢゅるぢゅる……ちゅ、ちゅちゅううぅぅっ……ぢゅる、ちゅる……ちゅぷ」
 先端だけ口に含み割れ目から湧き出す先走り汁を吸い上げる。
 奉仕に酔いしれるキリトには、本来は苦みのある汁が蜂蜜のように甘美な味に感じられていた。
「くちゅ……ちゅぷちゅぷっ、んふ……あ、じゅるじゅる……じゅりゅ、ぢゅりゅりゅっ……」
 無我夢中で肉棒をしゃぶっている内に先端の方からビクビクと震え始める。
「いいぞ……そろそろだ…………口で受け止めろっ」
「んっ、ふぁい! じゅぷ、じゅぷんっ! ぐちゅ……じゅりゅじゅりゅ……」
 口で彼の精を受け入れるべく、先端より再び深く咥え込み、じゅるじゅると唾液を目一杯絡めて喉の奥から口元までと激しく前後の口内ピストンを繰り返す。
 そうして高ぶる快感が頂点に達した時、鬼城の腰が一度ビクンと大きく震える。 
「ッ!!」
「んッ!! んううううううううううううううッッ!!!!」
 せり上がった欲望はキリトの口内で爆発し、ドクドクと口元から白い液体が溢れ出す。
「ん……っく、ゴクッ……ゴクッ……んぐっ……」
 鬼城の肉棒から口内に放出された精を、キリトは吐き出すことなく見事に全て咀嚼した。
 その姿は『黒の剣士』より『黒の美少女剣士』であり、男とは思えぬくらい官能的で、既に牝としての素質の片鱗を見せ始めていた。
「コクッ……ん、たくさん……出ましたね」
 うっとりとした表情でキリトは口元に零れた精液を指ですくって口に含む。
 今まで理性によって抑圧されていた分、溜め込んでいた鬱憤を晴らすようにキリトは性への悦びを顕著に表している。
 綺麗に残りの精液を舐め取るとより陶酔したように顔を染めてとろんとした表情になっているが、吐く息は熱く荒く、何か物欲しそうな表情を浮かべて鬼城に対してその期待感をさり気なくアピールする。
 無論、鬼城は皆まで言うなと全てを察していた。
「ここに、欲しいだろ?」
「っあ……ん……は、はいっ……////」
 腰布をめくり、ズボンの上から尻を撫でつつ一つに繋がることが出来る唯一の秘所を指で刺激する。
「んっ、く……ぬ、脱ぎますね……」
 今だ尻を撫で続ける鬼城を他所にキリトはズボンに手を掛ける。
 ベルトを外し、腰布だけはそのままにし、ズボンとパンツを脱ぎ去る。
 パンツは脱いでも片足の太ももか足首にに引っ掛けておくようにと教え込まれていたのだ。(腰布を残しておくのも彼らのこだわりらしい)
 一度射精したにも関わらず少しも萎縮していない鬼城の巨根にキリトは期待と共に熱い視線を向ける。
「自分で挿入れてみろ」
「はっ、はい……」
 鬼城の上に跨がり、脚を広げてゆっくりと腰を屈めて下へ降ろしていく。
 その間にこれから自分の中に入る熱くたぎった肉棒を片手で握り、上手く入れられるように穴の方へと導く。
 もちろん自身の尻穴ももう片方の手で尻肉を広げて肉棒が入りやすいようにする。
 これらは全て、鬼城たちによって教え込まれたものである。
「んッ! はッ、あああぁぁっ!」
 くちゅっ……と鬼城の先端とキリトの入り口が接触する。
 挿入することは前回だけではない。その後も彼らに犯される度にキリトの穴は何度も男たちの欲望……とりわけ鬼城のものは最も挿入した回数が多い。
 しかし何度挿入していてもそう慣れるような行為でもないし何よりキリト自身が理性の下拒絶し続けていたので真の意味での快楽というものを今日まで向き合ってもなければ味わってもいない。
 すなわち、今日ここで鬼城と交わることにより、キリトは本当の意味でセックスの快楽というものを理解することが出来る。
「ぐ……は、あ……あっ……ああああッ! は、入り……ましたぁ……」
 こうしてキリト自身のエスコートにより、鬼城の肉棒はズブズブとキリトの中へと沈んでいった。
 ずっぽりと鬼城の肉棒を飲み込んでキリトは鬼城上で跨がり、騎乗の体制となる。
「次はそのまま腰を振れ」
「っ~~! は、はいぃ……」
 ゆっくりと腰を上げ、そして腰を降ろす。
 この単純な動作を一往復するだけでもキリトの足はガクガクと震えており、往復するペースも明らかに遅い。
 鬼城としては物足りないことこの上ないが、涙目で必死になって腰を振るキリトの姿は実に扇情的で、見ているだけでも飽きない。
「っはぁ……っく、あ、ああ……はぁッ! あっ、ん……ああっ!」
 キリト自身も焦りを感じていた。
 明らかに腰の動きが遅い。これでは鬼城が不満を抱くのはまず明白だと感づいてはいるが、彼の巨根を挿入した時点でキリトは伝わって来た刺激はかなりのもので、挿入しただけで絶頂しそうになっていた。
 しかしいきなり絶頂すれば鬼城の怒りを買いかねないという恐れから、キリトは強引に絶頂を寸止めで自制したのだ。
 調教され続けていた時も、不用意に絶頂すると彼らは異様なまでに怒りを表していた。
 そのためキリトの中で絶頂は許可無くすることは許されず、するときもちゃんと自己申告しなければならないものだと認識していた。
「……ったく、まだまだ調教が足らんな」
「あっ! ぅああッ! は……んっ! あ、あっ……んんぅッ!」
 おぼつかないキリトの腰の動きに業を煮やした鬼城がキリトの尻奥を目指さんとばかりに下から腰を突き上げる。
 突き上がって来る熱い肉棒が尻穴をグチョグチョに蹂躙し、突かれる度に伝わる快感にキリトは自分が男であることも忘れ、快楽に身を委ねて酔いしれ、甘い喘ぎ声を上げる牝の姿そのものになっていた。
「きもひいっ! おち○ぽきもひいよぉっ! もっと! おち○ぽしてぇ!」
「ならもっとしっかり尻を締め付けろっ」
「うん! ぎゅってしゅるっ! おち○ぽいっぱいぎゅってしゅるよぉッ!」
 我を忘れたようにキリトは快楽を貪り、鬼城は獣のように腰を振る。
「わらっ、わらひっ! いっひゃいまふッ!」
「ああ、中出ししてやる! しっかり受精しろよっ!」
「はひっ! ひっふぁい! ひっふぁい受精しましゅうぅ!」
 悦びに喘ぎ、鬼城の精を求めるようにキリトも再び腰を振り始める。
 最早かつての凛々しい姿の黒い剣士の面影は――――ない。
「そんなに精子が好きなのかっ!?」
「せーししゅきぃ、せーししゅきいいぃぃぃ!! 受精しゅるのらいしゅきいいぃぃ!」
 ついこの間まで拒絶のあまり泣き喚き、嘔吐すらしていたキリトが今では精液を自ら欲し、射精されることにこの上ない悦びを覚えるようになっていた。
 鬼城の上に跨がり、ずっぽりと彼の肉棒を尻穴に咥え込み、自ら腰を振って射精を促す。
 その度にバサバサと丈の長い腰布が翻り、整った艶のある長い黒髪も腰を振る度にパラパラと乱れる。
「なら俺に抱きつけっ! 離れないようにしっかりとなッ!」
「ふぁッ、ふぁい! ……ッ! あっ……んぅ!」
 鬼城に抱き抱えられ、まるで恋人でもあるかのようにキリトはギュウッと彼を抱き締める。
 足もしっかり腰に絡め、絶対に離れないようにガッチリと固定していた。
 それは、挿入中絶対に彼の肉棒抜かずに確実に自分の中に射精させることを望んでいる証でもある。
 犯され、尻を躾けられ続けてきたキリトにとって、尻穴は最早快感を得るための性器であり、男を悦ばせるための穴でしかない。
「っあ! あっ! あっ! ああッ! んぁッ……あ! 深いっ! おち○ぽが深いとこまできてるよぉ!」 
 ジュプジュプとまるで女性器のように尻穴は彼の男性器を咥え込み、にじみ出る腸液が潤滑油となって激しいピストン運動を加速させる。
「らっこされながらいっひゃう! おひりじゅぽじゅぽされていっひゃうよぉッ!!」
「イッちまえっ! んでお前は牝に生まれ変るんだぁッ!」
「はひ! きっ、キリトはぁっ! めしゅにうまれかわりましゅうううううううッ!!」
 互いの繋がりが高ぶり、ビクビクと激しく痙攣する。
「……ッらぁ!! 種付けだあッ!!」
「ッんああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!

 ズビュッ! ズビュビュビュッ! ビュル! ビュリュリュリュッ! ビュクッ……ビュクッ……

 ドクドクと尻穴奥へと注ぎ込まれる彼の精液。
 子種を授かる女性のように、キリトは今も湧き出る彼の精を受け入れ続ける。 
 そうしてキリトは憎かった相手に抱かれて、快楽に満たされながら絶頂を迎えていった――――


 ※

 冷たいコンクリートの床の上で二人は横たわる。
 激しく繋がり合った後にはこの冷たさが実に心地良く、互いに疲れで息を切らして疲れを癒していた。
「ずいぶん、派手にイキ狂ったようだな……」
「ご、ごめんなさい……気持ち良すぎて……その……」
 申し訳無さそうに戸惑うキリトの頬を鬼城は恋人相手のように優しく撫でる。
「疼きはなくなったか?」
「……はい」
 抑圧されてきた本能を解放し、渇いた喉を潤したような満ち足りた満足感。
 犯されることに快感を覚え、理性で抑え込み続けてきた本能がようやく報われた瞬間だった。
 それがたとえ、自分を貶めた張本人であっても、今のキリトには些細なことだった。
「ん? これはーー」
 腹部に妙な違和感を覚えた鬼城が覗き込むと、そこにはぬめりのある白濁とした液体が飛び散っていた。
「ご、ごめんなさいっ! わたしのが……少しかかって……」
 先ほどキリトが絶頂した時に噴出した精だった。
 鬼城に抱き抱えられ、対面座位の体制になった際に絶頂と同時に彼の腹部近くにあった自身の欲望が噴き上がってしまっていた。
「ふむ……やってくれたな。この場合どうすればいいかわかるか?」
「えっと、その……」
 鬼城の言葉に戸惑ってはいるが、どうするのか理解した上で恥じらいながらキリトは言った。 
「き、綺麗に……します」
「それでいい」
 満足げに笑みを浮かべる鬼城の上に覆い被さり、射精して精液が掛かってしまった鬼城割れた腹筋の上に舌を這わせて己の精を舐め取り始める。
「ちゅ……ぺろ……ん、ぴちゅ……ちゅりゅりゅ……」
 その姿は淫靡ながらも彼に一心となり、懸命に精を舐め取る健気な姿にも捉えることも出来る。
 人とはここまで変われるものなのか。
 拉致して犯していた時は恐怖と同時に下手をすれば本気で人を殺しかねない憎悪した目で睨んでいたが、今はどうだ。
 恍惚とした表情で健気に奉仕に励み、時々目が合うとまるで恋人を見るように微笑みかける。
 そんなキリトの一途な姿に荒くれの鬼城も心が揺れた。
「……キスするぞ」
「ちゅ、ちゅるっ…………で、でも今精子舐めちゃってるから――――」
「構うまいっ――」
「んぅッ! ぢゅ、ぢゅる……ぢゅりゅりゅっ……んふ、ちゅく……ちゅ」
 またしても乱暴に唇を奪われたが、口内では優しく舌を絡めて丁寧にキリトの口内を舐め回す。
「くちゅ……んっ…………ちゅ、ちゅ……ちゅぷ、ちゅるちゅる……ん、ふ……」
 やがてキリトもそれに呼応するように積極的に舌を絡める。
 長いキスが続く内に身体がぽかぽかとしてくる安心感――――キリトは彼に対して特別な安らぎを抱き始めていた。
 自分が彼に辱められた経緯などもうどうでもいい。ただこうして彼の与える快楽受け入れてしまえばいい。
 もう自分の中で、彼は特別なのだから――――キリトの本心だった。
「っぷ、ちゅ……ぢゅる、ちゅる……くちゅっ…………男同士でも、好きな人とのキスは……気持ち良いんですね……////」
「男でも、今のお前は立派な牝だ」
 そう言って鬼城がポンとキリトの頭に手を乗せて優しく撫でる。
「……はい♪」
 二人の光景は飼い主に尻尾を振って懐く子犬のようで、キリトはとても幸せそうに頭を撫でられていた。
「……頃合いだな」
 鬼城はおもむろにアイテムメニューを開くと、何かを選択してそのアイテムをその場に出現させた。
「キリト、お前にこれをやろう」
 黒い革製で作られたソレは、銀の金具と装飾が所々に散りばめられ、中央にはペンダント型のエンブレムのプレートが施されている。
 キリトはプレートのエンブレムに見覚えがあった。
 以前シノンに絡んでいた連中――――鬼城の手下の服に刺繍されていた彼のクランのを示す紋章のワッペン。このプレートにも同じ紋章が刻み込まれていた。
「これは?」
「見ての通り首輪だ。だがただの首輪ではない。こいつはお前が俺の牝になった正式な証になる」
「証……」
「この首輪には特殊な作用があってな、まず装着したら俺以外には外すことが出来ない。俺の命令に従い褒められたりすると、気分が高揚して幸福感に包まれる。だが逆に俺に逆らったり、意に反した事をすると極度の嫌悪感と罪悪感に見舞われる仕組みになっている……一種の洗脳装置みたいなものだ。出処は聞くな」
「…………」
「要するに、これを付けたら完全にお前のご主人様は俺になるわけだ」
「っ……」
 瞬間、キリトの胸がドクンと一度高鳴った。
『ご主人様』という響きが『今の』キリトには非常に甘美に聞こえていた。
 しかしこれを付けたら最後、もう後戻りが出来なくなる――――そんな理性の警告がまだ自分の中に残っていた。
 期待感という名の本能と困惑感という名のリ性が再びキリトを挟み込む。
 キリトはそっと胸に手を当て、ゆっくりと目を閉じる。

 ――――ダメだ! こんなの付けたら、もう逃げることも出来ずにずっとコイツの奴隷にされるんだぞ!?
(それでも……構わない)
 ――――鬼城は俺を襲った張本人だぞ!? 今日まで俺を貶めたきた奴が憎いと思わないのか!?
(…………さい)
 ――――それにアスナたちはどうする!? 今の姿を見てどう思う!? 
(うるさいッ!! 黙れッ!!)
 ――――っ!?
(お前はいつもそれらしい建前ばかりを言って、俺をずっと苦しめてきたっ! 救おうとも支えようともせず、ただ自分の面子やくだらない常識ばっかつらつらと並べてっ……それなら奴隷でも大事に扱ってくれて欲望も満たしてくれる鬼城の方がまだマシだ!)
 ――――なっ……。
(お前の本心に反した理性に従って満たされない欲求に耐えて、自分の身体に嘘をつき続けた俺の何がわかるッ!?)
 ――――けどそれはっ……!
(消えろ――――もうお前は俺の中に必要ない…………消え失せろッ!!)
 ッ――――!!
(…………もう、自分に素直になっても……いいよな……)

 パキッ……

 そう思った瞬間、何かにひびが入った。
 キリトを引き留めていたもの――――理性。
 それは一度ひびが入るとたちまち砕け始め、それまで重圧に感じていた何もかもが崩れ去り、いきなり羽でも生えたかのように身が軽くなった。
(身体が……軽い――――こんなくだらないことで俺はずっと苦しんでたのか……? 欲しいものを欲しいって素直に言えなかったことぐらいで……)
 これまでにない高揚感に包まれ、それまで後ろ髪を引いていた理性は拒絶したことにより消え去ってしまい、今のキリトはもう迷いも戸惑いも消えて本当の意味で本能と向き合い、受け入れることを選んだ。
(アスナ……ごめん……もう俺は――――)
 そうして胸に当てた手をギュッと握り締め、ゆっくりと目蓋を開き、目の前の男――――鬼城へと目を向けた。
「……付けて、下さい」
「ほぅ、何やら考えてたようだが……いいんだな?」
「もう、今の俺……わたしには、あなたが全てなんです」
 キリトは着ていた上着の襟を織り込んで、鬼城にその白く細い首を見せた。
「やはりお前は素質がある。いずれ最高の牝になれるだろう」
 首輪を手にした鬼城はキリトの首に手を回す。
「――出来たぞ」
 首輪が固定されたと思われるカチャリと鳴った金属音の後、鬼城は首からゆっくりと手を離した。
「……これが、牝の証…………」
 自身の首に付いた証にキリトはそっと触れる。
 革の滑らかな感触に所々銀の装飾による硬く冷たい感触、凹凸になっている首輪の表面をくまなくなぞる。
 最後に首輪中央に装飾されている鬼城率いる部隊のエンブレムが入ったペンダントを手に取って眺めた。
「今日からお前は、本当の意味で『キリ子』になったな」
「はい……ご主人さま♪」
 キリトは愛おしげに鬼城に抱かれて幸せそうに微笑んだ――――


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